最高情報責任者(CIO)は、以前よりも注目を集めるようになっている。企業はテクノロジの力を理解している幹部を真剣に求めており、多くの場合、もっともその要求を満たしやすいのは経験を積んだCIOだ。
能力があることを証明したCIOは、企業幹部としてのキャリアの階段をどこまで上れるのだろうか。また、CIOの将来はどのようなものになるのだろうか。米ZDNetでは、何人かの専門家に話を聞いた。
変化の文化を確立する
Harvey Nashの社外取締役であり、元Rolls-RoyceのCIOであるJonathan Mitchell氏は、今の時代のITリーダーは、戦略的なチェンジエージェントでなければならないと主張しているIT業界の古株の1人だ。現代のビジネスではあらゆる場面でテクノロジが使われており、CIOはデジタル変革をできる限り早いペースで推し進める必要がある。
しかし1つ問題がある。Mitchell氏によれば、平均的なCIOの在任期間はかなり短い傾向があり、多くの場合3~4年までだという。「多くのCIOは、利害関係者の期待を上手にマネジメントできなかったり、大規模なITプロジェクトで大きな失敗をしたりして、不幸な結末を迎えた」と同氏は言う。
今の時代のITリーダーが優れた成果を素早く出すためには、より広範な事業目標に深く関与する必要がある。イングランドおよびウェールズのThe Bar CouncilでCIOを務めるPoli Avramidis氏は、すべてのITリーダーにとって容易であるとは限らないスキルである「エンゲージメント」がキーワードだと述べている。
「CIOにとっては、多くの場合、振る舞いの変化を引き起こすことが最大の課題になる」と同氏は言う。「現代のITリーダーは、多くの意味で社内でアイデアを広めることに多くの時間を費やしている。彼らは組織の他の部門の人たちに、文化的な転換が必要であることを理解してもらう必要がある」
KPMGでCIOアドバイザリー事業のグローバル責任者を務めるLisa Heneghan氏も、文化の重視に注目している。同氏は、ITリーダーはIT部門に対して、運用だけを考えるのではなく、創造的に考えるよう奨励すべきだと述べている。幸い、ビジネスに関するアイデアの発展を支援できるCIOであれば、組織のトップまで上り詰められる可能性があるという。
「CIOが本当の意味で戦略的に考える能力を持っているのであれば、最高執行責任者(COO)や、最高経営責任者(CEO)になれない理由はない」とHeneghan氏は言う。「事例はまだ少ないが、より一般的なことになりうる。ITリーダーはデジタル時代の事業戦略をテクノロジで実現できることを示せる」
「戦略的な思考ができるCIOであれば、COOやCEOになれない理由はない」
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