キャリアの階段を上ることを目指す
企業の変革を支援する企業であるthree25のマネージングディレクター兼暫定CIOのChristian McMahon氏は、CIOの役割の変化は、より上級の役職への適性という文脈で議論されていることも多いと考えている。ただし、CIOとして優秀であっても、ほかの幹部職、特に最高の職位であるCEOとして成功するとは限らない。
調査会社であるOvumや、流動資産取引の企業であるGoIndustryのCIOを務めた経験のあるMcMahon氏は、「大規模で複雑な組織でCIOが務まっても、それだけで企業のトップを務める用意ができているとは言えない」と言う。「CIOとして優れていることと、成功の実績があり、周囲に認められたリーダーであることは別の話だ」
国際的な法律事務所であるClyde & CoでCIOを務めるChris White氏も、技術職のトップからCEOになることは、簡単なキャリアパスではないと考えるITリーダーの1人だ。同氏は「私はそれほど簡単なことだとは思わない」と述べたあと、法律事務所を例に挙げて説明した。
「多くの法律事務所は、弁護士によって経営されている」とWhite氏は言う。「しかし、優れた弁護士だからといって、ビジネススキルが優れているとは限らない。今日のグローバルな激しい変化を考えれば、企業のトップとして成功するには、ビジネスリーダーシップの面で最高の能力を持っている必要がある」
昇進を目指すCIOが最初に学ぶべきなのは、経営能力を重視する必要があるということだ。AirswiftのCIOであるBrad Dowden氏も同様の意見を持っている。同氏は今の時代のビジネスリーダーとして、CIOもできる限り多くの分野に精通すべきだと主張する。
ほかの幹部と連携を取ろうとする企業幹部には、チャンスが訪れる。
「私は組織のあらゆる事業分野の人たちと協力し、積極的に対話している」とDowden氏は述べている。「このやりかたが好きなのは、それぞれが直面している課題を把握し、解決方法を提供できるからだ。このアプローチは、ITチームがほかの部門によりよいITサービスを提供するのに役立っている」
CIOが本来持っている価値を認識する
CIOの最終目標がCEOへの昇進である必要はない。優れたITリーダーは、会社がIT主導の変化を取り入れるのを支援することで、自分のキャリアを高めることができる。テクノロジで事業運営を変えようとしている大手製薬会社AstraZenecaのCIO、Dave Smoley氏を例に取ってみよう。
Flextronics、Honeywell、General Electricなどで技術部門の責任者を務めた経歴を持つ、IT担当役員として経験豊かな同氏は、2013年からAstraZenecaに勤務している。常に進化を求められ続けるCIOの仕事は、「世界で一番の仕事だと思う」とSmoley氏は言う。