三井住友カードは、2017年4月からマーケティングや与信管理などの業務で人工知能(AI)と機械学習の活用を始めている。
新日鉄住金ソリューションズが提供する機械学習基盤「DataRobot」を導入した。三井住友カードでは、DataRobotの導入に先だって実証実験を実施。その結果、顧客分類や与信管理に活用する予測モデルの精度が大きく向上し、数カ月を要していたデータ分析作業を数日~1週間程度に短縮できることを確認した。また、従来のデータ分析からは導けなかった新しい知見の取得にも効果があったとしている。
同社は、社内の関係各部署にデータ分析担当者を増員し、各種施策のPDCAサイクルの高速化などに取り組む。データ分析担当者は、ビジネス課題に対する仮説の立案から、データの抽出と加工、分析とデータモデルの作成、施策への反映、結果の検証などを実施する。
DataRobotは、機械学習を自動化するためのプラットフォーム。専門スキルがなくても、データサイエンティストの知見に基づく予測モデルを作成できる。作成した予測モデルは、ワンクリックで運用環境へ配備可能なため、予測モデルの実運用のために新たなコーディングや環境構築が必要はないという。モデル再作成もワンクリックで実行できるため、試行錯誤の時間や労力を削減する。
例えば、顧客ロイヤリティの予測では、サービス継続確率だけでなく、ロイヤリティに寄与する要因の見える化、顧客ごとのロイヤリティに関する根拠を分析し、具体的なサービス改善を継続的に実行していけるとしている。
インフラ基盤には、新日鉄住金ソリューションズのクラウドサービス「absonne」を利用。コンサルティング、環境構築、導入支援、保守運用、データ管理に必要な周辺システムの構築サービスなども提供する。
DataRobotによる分析環境と分析プロセスの概要(出所:新日鉄住金ソリューションズ)