情報処理推進機構(IPA)は4月13日、「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査 2017」の結果を発表した。経営トップとセキュリティ対策現場の「橋渡し役」として期待されるという最高情報セキュリティ責任者(CISO)の実態を日米欧で調査した。
調査は2016年5月に続いて2回目。今回は2016年10~11月に従業員300人以上の企業のCISO(準ずる役職層を含む)やITおよびセキュリティ担当部門責任者・担当者にアンケートを行った。CISOは、経済産業省が策定する「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」の中で、経営層がリーダーシップを発揮してセキュリティ対策を推進するための「橋渡し役」と位置付けられている。
まずCISOの設置状況は、専任で置く企業が日本では27.9%、米国では78.7%、欧州では67.1%だった。兼任するケースを加えると、日本は64.3%、米国は95.2%、欧州は84.6%に上る。前回調査に比べて米国では10ポイント以上増加したが、日本と欧州はほぼ横ばいだった。
CISOの任命率(出典:IPA)
現在のCISOが有する役割では、3地域とも「セキュリティ技術分析・評価」「セキュリティ目標・計画・予算の策定・評価」「リスク分析・評価」などセキュリティの専門性についての割合が高い。また、重要視される役割でも同様に専門性や技術を挙げる割合が高く、「経営層との橋渡し」や「事業目標との整合」など経営や事業との関わりにおける期待は低いことが分かった。特に「IT導入におけるセキュリティ上の助言」では、日本企業の回答は、米国や欧州の半分以下だった。
現在のCISOなどに求められる役割(出典:IPA)
今後のCISOなどに求められる役割(出典:IPA)
CISOに期待されるスキルは、日本ではコミュニケーションやプレゼンテーション、情報通信の知識を挙げる割合が高い。米国ではコミュニケーションやリーダーシップ、ビジネス、欧州では情報通信の知識や自社事業への理解、実務経験、インシデント対応経験を挙げる企業が目立つ。