ヴイエムウェアは4月18日、都内で記者会見を行い、プライベート/ハイブリッド/パブリックのそれぞれのクラウドに対する同社の製品戦略などについて説明した。
米VMwareのCloud & Networking 最高技術責任者(CTO)を務めるGuido Appenzeller氏は、「クラウドの一番の課題はサイロ化だ。お互いに管理方法が異なるAmazon Web Services(AWS)チームやAzureチームに分かれてしまい、クラウド間でアプリケーションを移動させることが難しくなる。VMwareはクラウド間を自由に行き来できるコントロールプレーンを提供する」と語る。
Cross Cloud Architectureでは、複数のクラウドをまたがって共通の手法で管理できるコントロールプレーンを提供する
米VMwareでCloud & NetworkingのCTOを務めるGuido Appenzeller氏
同社は、複数のクラウド環境を共通の管理手法で利用できるようにする「Cross Cloud Architecture」と呼ぶアーキテクチャを推進している。現状では、VMware製品ユーザーの60%がAWSやAzureなどのパブリッククラウドを利用。2020年には、ワークロードの30%がパブリッククラウドに、残りの70%がプライベートクラウドで動作するとみている。ユーザーの67%は、最終的に複数のクラウドを利用したいと考えているとのことだ。
また顧客の大半は、オンプレミスなどで動作するプライベートクラウドのユーザーとなる。この領域に対して同社は、サーバ仮想化の「vSphere」、ストレージ仮想化の「Virtual SAN」(VSAN)、ネットワーク仮想化の「NSX」などを提供。これらを統合した「Software Defined Data Center」(SDDC)を実現する製品として「Cloud Foundation」も発表している。
「現在のSDDCは自動化され、管理しやすくなっている」とAppenzeller氏。その上で、プライベートクラウドにパブリッククラウドを加え、試行したいというユーザーにはクラウド運用ソフトの「vRealize Automation」を用意し、業務の一部をパブリッククラウドにブランチアウトできるようにしていると説明する。
また、ワークロードをできるだけパブリッククラウドに移行したいユーザーには、「vCloud Air Network(vCAN)パートナー」と呼ぶ、VMwareベースのクラウドサービスを手がけるサービス事業者との協業に注力している。VMwareベースのクラウドサービスであれば、オンプレミス環境とvCANパートナーのクラウド環境との間で、自由にアプリケーションを移動できるという。
vCANパートナとは異なるが、直近ではAWS(Amazon Web Services)もパートナになった。サービス名称はVMware Cloud on AWSで、AWSのインフラ上に用意したベアメタルサーバの上でVMwareのソフトウェア群を動作させ、これをIaaS型クラウドサービスとしてVMwareが販売する。
VMware Cloud on AWSは、AWSの物理インフラを用いてVMwareのクラウドサービスを提供する
一方でAWSやAzureなどのパブリッククラウドを最優先に考慮する「クラウドファースト」志向のユーザーもおり、同社はこうしたユーザーに対して、「Cross-Cloud Services」という複数のクラウドを一元的に管理する機能をSaaS型で提供する。
Appenzeller氏によれば、Cross-Cloud Servicesによって、例えば、どのクラウドでどのアプリケーションが動いているのか、各クラウドにどれだけ料金を支払っているのか、クラウド間を移動するとどのくらい料金が変わるのか、などが分かる。
運用管理SaaSのCross-Cloud Servicesを使うと複数クラウドを一元的に管理できる。例えば、どのクラウドでどのアプリケーションが動いているのか、各クラウドにどれだけ料金を支払っているのか、などが分かる