金融(Finance)とテクノロジ(Technology)の造語であるFintech。2015年にはメガバンクグループでFintech専門組織の設立が相次ぎ、Fintech協会も設立された。2016年には金融庁を中心とした法制度の整備が進んだことも記憶に新しい。Fintechに対して、金融の現場ではどのような取り組みがされており、どこに向かっているのか、5人の識者が語る。参加者は以下のとおり。
参加者(自己紹介順)
- 藤井達人(三菱UFJフィナンシャル・グループデジタルイノベーション推進部シニアアナリスト)
- 大久保光伸(みずほフィナンシャルグループデジタルイノベーション部シニアデジタルストラテジスト)
- 平手佑季(三井住友フィナンシャルグループ ITイノベーション推進部部長代理)
- 大平貴久(トーマツベンチャーサポートアドバイザリーサービス事業部 FinTechリーダー)
- 落合孝文(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業パートナー弁護士)
銀行業務とブロックチェーン
三井住友フィナンシャルグループ ITイノベーション推進部部長代理 平手佑季氏
落合氏:では、非中央集権ネットワークにより、データの破壊や改ざんを困難にするテクノロジである「ブロックチェーン」について。まず藤井さん、簡単に解説をお願いします。
藤井氏:2016年からブロックチェーンの実証実験がたくさん行なわれていますが、「そもそもブロックチェーンを使う必要があるのか」という意見も聞かれるようになりました。
ブロックチェーンを使うことが目的化してしまっているケースもあります。どのようなアプリケーションやビジネス領域がブロックチェーンに適しているのかを見極める必要があります。
われわれがシンガポールでやっている小切手の電子化を対象にしたブロックチェーン技術の実証実験は、今まで紙でやっていたものをブロックチェーンに乗せて、低コストで便利にするという点で良いユースケースだと思っています。
また、MUFGコインの取り組みも、分散合意形成の特徴を生かせると思っています。