大平氏:トレーサビリティの話が出ましたが、今までのシステムは自社のシステムを自社で管理する動きでした。それが例えば、上流から下流にトレーサビリティする人が、それぞれのシステムのコンピューティングパワーを按分(あんぶん)して、その分だけコスト負担するようにする。
そして、システム自体の管理はコンソーシアム型でその中できちんと合意を取れるようにするというのは新しい発想としてはありますよね。
トーマツベンチャーサポートアドバイザリーサービス事業部 FinTechリーダー 大平貴久氏
これまではそれ専用のシステムを入れなければならなかったのが、ある仕組みの中でどれくらいの按分になるかが全部わかることには利点はある。ただ、それが既存システムでできないかというと、そんなことはない。
落合氏:ブロックチェーンは、本当はいろいろと議論が必要な感じはありますが、2016年の前半くらいの時点では具体的なユースケースがないことから、2016年度のFISCでの金融機関の安全対策基準見直しとFinTechとの関係についての議論に含まれませんでした。これから検証に耐えうるようなユースケースが生まれてくるのか……。
藤井氏:個人的には「金融機能にプライベートチェーンを採用することで明確にコストダウンできます。既存のシステムからの置き換えコストや新しい技術者の育成コストが発生しても、コスト削減できます」というユースケースが出てくれば、それはそれで良いと思っています。
個人的には、ある程度十分な数の企業が参加するコンソーシアム型チェーンの方が、ユースケースとして適しているのではないかと考えていますが。
落合氏:大久保さん、ブロックチェーンについてどうでしょうか。
大久保氏:みずほフィナンシャルグループではこれまでクロスボーダーの証券決済や、シンジケートローンなどの分野においブロックチェーン利用の実証実験を進めて来ました。
主担当ではないため、個人的な意見になりますが、既存業務をリプレイスするよりも、海外送金など新規ビジネスに用いるほうが導入障壁は少なくなると考えています。ブロックチェーンも注力している要素技術の一つであり、引き続き取り組みを進めていきます。