Microsoftは、Linuxが大好きだと好んで口にする。それに、クラウドの「Microsoft Azure」を、オープンソースのOSやプログラミング言語に対応させている。しかし、データベースレイヤについてはどうだろうか。Microsoftはこれまで、「SQL Sever」から派生した「Azure SQL Database」を、唯一の同社製マネージドリレーショナルデータベース・アズ・ア・サービスとして提供してきた。こうして、オープンソースのリレーショナルデータベースをターゲットにしているケースが多いオープンソース開発者には、対応半ばとなっていた。
だがMicrosoftは、米国時間5月10日にシアトルで開幕した「Build」カンファレンスで、「Azure Database for MySQL」と「Azure Database for PostgreSQL」のプレビュー版を発表した。この最も有力な2つのオープンソースデータベースのサポートを、同社のマネージドリレーショナルデータベースのプラットフォームに追加した。
提供:Microsoft
「選択肢を広げたい」。Microsoftのデータベースシステム担当ゼネラルマネージャーであるRohan Kumar氏は5月9日、新製品について筆者に状況を説明する中でこう語った。さらに次のように説明した。「開発者に少し近づいてもらい、われわれも彼らに近づくことで双方が出会うことになる」。オープンソース開発者は今後、OS、プログラミング言語、そしてデータベースなど、オープンソースのアプリケーション開発スタック全体に対応したAzureマネージドサービスを使えるようになる。
Azure Database for MySQLとAzure Database for PostgreSQLは、パフォーマンス水準とストレージ容量が異なる「Basic」「Standard」「Premium」の3つのカテゴリ構成で提供される。また、Azure SQL Databaseに匹敵する高可用性と暗号化も実現することになっている。Azure Database for PostgreSQLでは、「PostGIS」など、約18種類のPostgreSQL拡張モジュールをサポートするが、人気と評価に応じて、他にも追加される可能性がある。「要するに、プレビュー版には最も人気が高いものを入れたかったということだ」とKumar氏は述べる。
AzureプラットフォームにPostgreSQLとMySQLを加えることで、Microsoftは、「Amazon Relational Database Services(Amazon RDS)」の確かな競合製品を提供することになる。Amazon RDSが現在サポートしているのは、「PostgreSQL」「MySQL」「MariaDB」「Oracle Database」、そして「SQL Server」だ。
Azure Database for MySQLおよびAzure Database for PostgreSQLは、Azure SQL Databaseとの価格比較については前提が異なることから困難だろう。一方、Amazon RDS上のMySQLやPostgreSQLに対しては価格競争力がある、とKumar氏は大いに自信を示した。
Amazon RDSは、MySQLやPostgreSQLと互換性がある独自データベースサービス「Amazon Aurora」もサポートしている。Microsoftが自社のリレーショナルプラットフォームでAuroraに似たサービスを提供せず、MySQLとPostgreSQLの標準的なコミュニティー版を利用するのは意図的なものだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。