「PostgreSQL」が格好いいと思われていたことは一度もない。これまでずっと、「MySQL」と比較される醜い継子扱いだった。PostgreSQLの信奉者は、自分の愛するデータベースが、人気の点でMySQLに打ち負かされるのを見続けさせられていた。MySQLの方が機能は少ないにもかかわらず、採用数では圧倒しており、PostgreSQLはさえないおじさんの役回りにならざるをえなかった。
だが、それも過去の話になりつつある。
最近のスタートアップの採用データを見ると、PostgreSQLは今では、強力なリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)を求める、創設間もないスタートアップの開発者に実際に選ばれているのである。疑問なのは、その理由だ。
ほかのみんなもPostgreSQLを使っている
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創設して間もないスタートアップ以上に、PostgreSQLが新たに人気を獲得していることが明白なところはない。そこでは、MySQLではなくPostgreSQLを採用する動きが急速に進んでいる。Ryan Williams氏が、HackerNewsの採用関連スレッドからまとめたデータ(右図)は明らかに、PostgreSQLが、流行に敏感な開発者たちの新たなお気に入りであることを示している。
とはいえ、これは、広範なソフトウェア市場を表しているわけではない。データベース市場全体を見ると、MySQLは今でもPostgreSQLを大幅にリードしている。
数多くのデータポイント(採用、LinkedInでの言及、Google検索など)にわたって人気度を計測しているDB-Enginesのデータでは、この2つのオープンソースRDBMSの間に、かなりの差があることが分かる。
それでも、PostgreSQLは好調だといえる。
これはおそらく、雇用という、最も重要な領域について特に当てはまるだろう。データベーススキルについての相対的な関心度という点では、PostgreSQLの成長率は現在、MySQLの成長率に匹敵している。
しかし、創設間もないスタートアップの開発者の間ではPostgreSQLが有利だろう。
PostgreSQLが人気を集める理由
ある特定のグループで人気になることを選ぶとしたら、スタートアップを選ぶのも悪くない。Linuxや「Amazon Web Services」(AWS)といった数多くの製品や技術は、創設間もないスタートアップで働く開発者によって始められた。
そうした開発者は、多額の予算はなく、調達や契約の問題に煩わされたくないと考えている。そこで彼らは、アプリを短期間で開発し、それをさらに素早く繰り返すために、オープンソースとクラウドのいずれか、あるいは両方を選ぶ傾向がある。PostgreSQLはオープンソースに該当するし、「Amazon RDS for PostgreSQL」というサービスを使えば、クラウドだと言うこともできる。