A10ネットワークスは5月29日、アプリケーション配信制御(ADC)やセキュリティ対策の管理とトラフィック分析機能を備えるSaaS型サービス「Harmony Controller」を開始した。
Harmony Controllerは、仮想環境向けソフトウェアの「Lightning ADC」とセットで提供する。Lightning ADCは、ロードバランサやウェブアプリケーションファイアウォール(WAF)、分散型サービス妨害(DDoS)攻撃対策の機能を持ち、VMwareベースのクラウドインフラとAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platformで利用できる。Harmony Controller上から各種クラウド環境に対して、Lightning ADCのインスタンスの配備や設定ができ、トラフィックやWAFのログなどの分析が行える。
Harmony ControllerとLightning ADCの概要
同社は、主力製品のADCアプライアンス「Thunder」シリーズなどをインターネットサービス事業者やウェブサービス事業者、大企業のデータセンター向けに展開するが、今回の新サービスはDevOpsを実践するオンラインサービスやベンチャー企業などでの利用を想定しているという。
ビジネス開発本部長兼エバンジェリストの高木真吾氏によると、Harmony ControllerではユーザーがA/Bテストや開発/本番環境の更新などを頻繁に実施できるようBlue/Greenデプロイメントをサポートする。REST APIによるクラウドサービス側との機能連係も考慮し、マイクロサービスを活用したアプリケーションの開発から配信までを一元的に管理するプラットフォームと位置付ける。
今後は、Thunderシリーズなどのファームウェア「ACOS」で提供するADCやIPv4/v6変換、SSL通信の可視化、ファイアウォールなどの機能もHarmony Controllerから統合管理できるようにする。また、Lightning ADCをDockerコンテナでも提供する計画だ。
Harmony Controllerを利用するには、Lightning ADCのドメインライセンス(1~500ドメイン)の有償契約(オープン価格)が必要で、Harmony Controllerとしてのライセンスは1年もしくは3年のサブスクリプションとなる。
SaaS版とは別にHarmony Controllerの機能を単体のソフトウェアで提供する「セルフマネージドモデル」も用意するが、同社では当面SaaS版の利用が中心になるとして、セルフマネージドモデルの詳細は検討中だとしている。
DevOps型アプリの拡大とともにADCもクラウド中心型にシフトする