ガートナージャパンは6月20日、セキュリティソフトウェア市場を変革している4つのベクトルについて見解を示した。
この見解は、米Gartnerが5月30日に発表したもので、「高度なセキュリティアナリティクス」「製品/テクノロジの買収や統合」「SaaSの採用」「規制環境の変化」という4つのベクトルが今後、同市場を変革していくとしている。
「高度なセキュリティアナリティクス」では、2020年までにセキュリティ製品の少なくとも75%により賢い、予測的/処方的アナリティクスのテクノロジが組み込まれるとしている。この高度なアナリティクス能力は、ヒューリスティックや人工知能/機械学習といった手法をはじめとする多様なテクノロジに支えられているとし、どのアナリティクスが限られたセキュリティスタッフとリソースを増強できるのかを把握しているベンダーが、市場において成功を収めるとした。
「製品/テクノロジの買収や統合」では、買収、統合、連携は、ベンダーにとって非常に効果的な戦略となるとし、市場シェアの拡大やまったく新しい市場への参入機会をもたらすとしている。また、こうした動きには、既存の大手ベンダーが隣接した新興市場で急成長している企業を買収するケースと、類似製品を1つのブランドにまとめ、開発やサポート、セールス、マーケティングといった中核的な業務を統合するケースの2種類があるという。
「SaaSの採用」では、SaaS型のセキュリティ/リスクマネジメント製品は、エンドユーザーからも注目されており、その重要性を増しつつあるとした。一方で、プロバイダーはレガシーのセキュリティ製品へのサポートを維持しつつ、SaaS型の製品やマネージドサービスに投資することが、自社の財政面にどのような影響を及ぼすかを考慮すべきだとした。
「規制環境の変化」では、EUの「一般データ保護規則(General Data Protection Regulation: GDPR)」に触れ、苦情が1件でも寄せられれば、重い罰金を科される事態に直面するといった、厳しい懲罰的規則が与える財務面への潜在的な影響が経営陣の間に不安を生じさせ、データに対して必要な可視性とコントロールを提供する製品を有するプロバイダーが注目されるようになると指摘した。
プロバイダーに対しては、ターゲットとする国や地域の主要な規制要件と制約を明らかにし、顧客企業の経営陣の抱く不安を軽減させられる製品/サービスの選択肢を提供することで、あらたなビジネスチャンスが創出されるとしている。