「クラウドネイティブ」な企業になるというアイデアは、昨今とても魅力的に聞こえるものの、実際にそのような企業になるには考え方を根本から変えるとともに、本格的に取り組む必要がある。Capgeminiは最近、902人のIT幹部を対象として、クラウドネイティブへの取り組みに関する調査を実施し、興味深い内容をレポートとして公開した(この調査の結果については筆者の別の記事を読んでほしい)。
このレポートには統計値に加えて、クラウドネイティブという道に進んでいこうとする企業が手始めにするべきことについての指針も記されている。新興企業、すなわち小規模な情報集約型企業であれば、既にクラウドが事業の基盤となっている可能性ももちろんあるだろう。しかし歴史の長い企業では、どの部分でクラウドを選択するのが適切であるかや、クラウドに舵を切る、あるいはそうした取り組みを推進するうえで、どのような手順が必要となるかについて改めて検討する必要があるはずだ。Capgeminiは以下のアドバイスを提示している。
提供:Joe McKendrick
#1:アジリティを追求する
同レポートには、クラウドネイティブな企業になるということは、「テクノロジの採用という観点よりもむしろ、新たなスキルを醸成し、従来の規範やプラクティスを変革するという観点で語られるものだ」と記されている。そしてこれには、「アジャイルな継続的開発を高く評価する文化や、コラボレーションを促進するオープンな風土、社内外を問わずさまざまなパートナーから提示された新たなアイデアに対する受容性」を積極的に取り入れることが含まれるという。もちろんこれは、言うは易し、行うは難しだが、こういった方向に進んでいく必要がある。
#2:DevOpsを推進する
同レポートには「DevOpsはクラウドネイティブな開発を実現するための欠かせないイネーブラーだ」と記されている。しかし、DevOpsという手法を採用するには、IT運用を考え直すだけではなく、変更作業を実施しつつ運用を継続するための要件を考え直す必要がある。「DevOpsは文化的な変革であるとともに、テクノロジ面でのムーブメントなのだ」という。
#3:必要なスキルを獲得する
不可欠なスキルには、「PaaS上でマイクロサービスアーキテクチャを運用し、テストとプロビジョニング、配備の自動化を実現する」能力が含まれる。またITチームは「クラウドネイティブの価値を、企業幹部や業務部門に対して、相手が理解できる言葉でうまく説明できるようになる必要がある」という。
#4:ROIにとらわれすぎない
オンプレミスのシステムに対する何年にもわたる投資から目をそむけ、クラウドベースの新たなアプリケーションを採用するという意思決定は、投資対効果という点で説得力に欠ける場合もあると、同レポートの著者らも認めている。しかし大局的な観点に立った場合、ビジネス上の柔軟性や競争力の向上につながるという利点が見えてくるはずだ。