Microsoftは米国時間7月5日、組織の活動状況から生産性を分析するサービス「Workplace Analytics」をリリースした。分析には「Office 365」から得られるメタデータが使用される。
Microsoftが調査会社のForresterに依頼して実施した調査によれば、大半の企業幹部が従業員の生産性向上を今後1年間の最優先事項と考えていることが明らかになったという。このサービスの狙いは、Office 365のデータを分析することで得られた知見を、組織の生産性向上に結びつけることにある。
同サービスは、法人向けOffice 365のアドオンとして提供される。このサービスでは、発信者や宛先、件名、タイムスタンプなどを含む、Office 365の電子メールやカレンダーから得られるメタデータを分析して、組織内の連携や時間の使い方に関する知見を得る。Microsoftによれば、組織に求められているプライバシーやコンプライアンスのニーズに基づいて、使用されるデータの集約度や個人を特定できる情報などの除外のレベルをコントロールでき、表示されるデータの詳細度も、利用者の役割や顧客の設定によって変えることができる。
Microsoftは2016年に、カレンダーや電子メール、作成した文書、SkypeなどのOffice 365の利用データから、個人の生産性を把握できるサービス「MyAnalytics」をリリースしている。MyAnalyticsでは、従業員が自分の情報を見ることはできたが、管理職が部下の情報を見ることはできなかった。今回のリリースされたWorkplace Analyticsでは、それが可能になったことになる。
同社は、Workplace Analyticsの活用例をいくつか挙げている。例えばあるFortune 500企業の営業部門では、業績がよい担当者のコラボレーションのパターンを分析し、それを部門全体に広げることで売上が大きく伸びたという。分析の際には、顧客に費やした時間などの分かりやすい指標だけでなく、担当者の人的ネットワークのサイズなどの、従来はあまり顧みられなかった情報も使われた。
また不動産会社のCBREでは、従業員のカレンダーに記録されたメタデータから、ミーティングに関連する移動時間を計算した。再配置によって、各従業員のミーティングへの移動時間を46%減らし、取り組みの対象となった従業員1200人の合計で、週100時間を節約できるようになったという。