Salesforce.comは米国時間7月12日、AIを活用し、サービス要員を支援する新たなツール群を発表した。
これらのツールは「Field Service Lightning」を、画像認識と機材管理、アナリティクスという3つの面で強化するものだ。Field Service Lightningは、顧客からのサービス依頼への対応や、現場での作業を円滑化する製品だ。
まず、「Einstein Vision for Field Service」は深層学習を用いて現場のサービス要員を支援するという新機能だ。企業は訓練済みの画像分類機能を利用したり、企業独自のさまざまなユースケースを取り扱うために自らで画像分類機能を訓練したりすることができる。例を挙げると、サービス技術者が電化製品の修理に呼ばれた際に、現場に着いて初めて、自分があまり詳しくないサードパーティーの部品が使われていると分かる場合もあるだろう。こうした場合、Field Service Lightningを利用すれば、この部品の写真を撮り、自社のデータベースを検索するよう「Einstein」に指示することができる。このサービスは該当部品を特定した後の、例えば補充部品の発注といったフォローアップ作業も自動化できる。
次に、新たな「Equipment and Inventory Management」によって、作業担当者や機材、トラックの手配を効率化するといった、スケジュールの自動化機能が提供される。例を挙げると、ケーブルテレビ会社の作業手配担当者は、この機能を用いることで、顧客の住所に最も近いところにおり、ケーブルテレビを設置するうえで必要となる適切なケーブル分配機を所持している技術者を特定できるようになる。
また、新たな「Field Service Analytics」機能は、フィールドサービス向けに事前定義されたアナリティクスダッシュボードを提供するものだ。これによりマネージャーは、作業担当者の生産性を容易に評価できるようになる。同機能はカスタマイズ可能であるだけでなく、「平均修理時間」や作業員の「平均移動時間」といった、あらかじめ用意されたすぐに使える指標も提供している。
Field Service Lightningは、10年近くの歴史を誇る「Salesforce Service Cloud」の一部として2016年に提供が開始された製品だ。
Service Cloudの戦略および運営担当シニアディレクターを務めるMark Bloom氏は米ZDNetに対して、「このプラットフォームによってわれわれは、顧客エンゲージメントという分野でここ10年の間に目にしてきたすべての技術的変革の最前線にとどまり続けることができている」と語った。
こういった技術的変革にはモバイルへのシフトのほか、ソーシャルネットワークや、ビデオチャットといったツールの興隆が含まれている。Bloom氏によると、Salesforceはおよそ1年前に、「多くの企業がフィールドサービスを展開しているが、ネットワークと連携するソリューションを持っていない」という点を指摘していたという。これは、部品メーカーなどの企業にとっては明確な課題だったが、金融や医療などさまざまな業界でこのサービスが軌道に乗っていることをSalesforceは喜ばしく思っているとBloom氏は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。