NECは7月25日、IAサーバ「Express5800」シリーズの新製品群を発表した。人工知能(AI)の深層学習や顔認証といったサーバの新たな活用を挙げ、労働人口の減少に伴う業務課題の解決を支援すると表明した。
新製品は、インテル Xeon プロセッサ Scalableシリーズを採用する2Wayモジュラーサーバの「Express5800/D120h」、2Wayラックサーバの「Express5800/R120h-1M」「Express5800/R120h-2M」、深層学習ソフトウェア「RAPID機械学習」を搭載するGPUアクセラレータと組み合わせた「NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習」、顔認証ソフトウェア「NeoFace Watch」を搭載するアクセラレータと組み合わせた「NeoFace Accelerator Platform」、サーバ自律運用支援サービスの「サーバ診断カルテ」となる。

NEC 執行役員の西村知泰氏
記者会見した執行役員の西村知泰氏は、AIが実用段階に差し掛かり、人間の持つノウハウをデジタル化することで、業務の自動化や省力化が可能になると説明。少子高齢化に伴う労働力人口の減少が今後進む中で、AIなどの新技術を業務に活用することが鍵になるとした。一方、企業システムのクラウド化などによってハードウェアとしてのサーバ市場は縮小が続く。同社は今回の新製品群で、サーバの新たな活用を広げたい考えであるようだ。
ITプラットフォーム事業部長代理の馬渕淳氏は、新製品の活用が期待される領域の具体例として、メーカーの生産ラインにおける検査作業、大規模イベントにおける来場者の高速顔認証、IT部門での情報システム運用の効率化を挙げた。
メーカーの生産ラインにおける検査作業では、これまで複数の熟練検査員が目視で行っていた検査のノウハウを、NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習に取り入れることにより、より少ない人数でも従前と同様の業務効率を確保するイメージとなる。今後、メーカーで熟練検査員の確保が難しくなった場合にも、こうした対応が可能になるという。

NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習
大規模イベントにおける来場者の顔認証では、以前は顔の特徴の検出処理などに膨大なリソースを必要としていたことから実用化が難しかった。新製品では、性能が向上したサーバリソースとアクセラレータを併用することで処理能力が実用レベルになり、来場者の確認に大量の警備員を配置しなくても済むようになるとした。

NeoFace Accelerator Platform
情報システム運用の効率化では、Express5800から各種ログデータを収集し、AIによる解析や挙動分析などを行うことで、故障や障害などの予兆をとらえる。この情報を事前にシステム管理者へ通知することで、計画的な保守作業などが可能になるという。

サーバ診断カルテ
新製品は8月1日から9月26日にかけて順次出荷を開始する予定。サーバ診断カルテサービスの提供開始は9月下旬を予定する。
西村氏は、こうした新たな用途を企業に広げることで、縮小するサーバ市場の中でも同社のサーバ事業が2桁成長できる見込みだと説明した。
以下の写真は、サーバ新製品の外観や説明会の主な資料となる。