ソフトウェアデファインド時代でもハードウェアはITシステムの心臓部だ。本連載「ハードから読み解くITトレンド放談」では、ハードウェアの最新動向からITシステムのトレンドと未来を読み解いていく。
変化するIntel Xeonプロセッサ
サーバ用プロセッサの主流となって久しいのが IntelのXeonシリーズだ。同社では、Xeon E7/E5/E3の3つのクラスを用意している。
このうちE7は、ミッションクリティカル向けサーバやメインフレーム、HPC(Hight Performance Computing)などのサーバで使用されている。一方、企業のサーバとして採用されているのがE5だ。E5は、最も売れ筋のプロセッサであり、各Xeonのクラス内で最も多くモデルがリリースされている。またE3は、基本的に最新のデスクトッププロセッサ「Core i」をサーバ向けにチューンアップしたものだ。
Xeon E7 V4は、LGA2011を採用しているため、プロセッササイズとしてはXeon E5とほぼ同じになる(Intel資料より、以下同)
Broadwellコアの特徴は?
2017年6月現在、Xeon E7/E5 V4はBroadwellコアをベースとしたプロセッサとなっている。デスクトップのCore iプロセッサ(Kabylake)からみれば、Broadwellコアは2世代前のものとなる。ただしCore iプロセッサは、プロセッサコアのアーキテクチャに関しては2世代変わったとしても、大きな変化はしていない。Core iプロセッサでは、プロセッサコアの進化よりも内蔵GPUの進化に比重が置かれているようだ。
製造プロセスに関しても、Intelは以前の「Tick/Tock戦略」として、プロセッサアーキテクチャの変更と製造プロセスの変更を2年周期で行うとしていた。だが、製造プロセスの微細化によって移行に時間がかかるようになり、3年周期へと変更された。このため、Xeon E7/E5 V4で採用されている14nmの製造プロセスは、現状では最も微細な製造プロセスといえる(厳密にいえば製造プロセスはプロセッサの世代ごとに更新されているため、Xeon E7/E5 V4の14nmと、第7世代Coreプロセッサでは全く同じというわけではない)。
製造プロセスを微細化すれば、搭載できるコア数が増え、消費電力が低減化するといわれていた。しかし最近では、製造プロセスが微細化し過ぎて、劇的なコア数の増加や消費電力の低下をもたらすことができなくなっている。このあたりは、新たなブレークスルーが必要になっているのかもしれない。
プロセッサの性能面では、コアが増えた方が高い性能を示す。しかし、コアが増えたとしても、リニアに性能がアップしていくわけではない。メモリ性能やインタフェース性能など、さまざまな要素が絡むためだ。
また、OSやアプリケーションに関しても、膨大なマルチコアを生かせるよるデザインが必要になる。仮想化機能などを使って、複数の仮想マシンを1つのプロセッサで動作させるシーンでは、膨大なマルチコアにはメリットがあるものの、それでもメモリ性能やインタフェース性能が足を引っ張る可能性もある。