企業決算

大塚商会決算は増収増益--下期はWindows 10リプレース需要などに期待 - 21/32

大河原克行

2017-08-04 07:30

 大塚商会は、2017年度上期(2017年1~6月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比5.6%増の3575億円、営業利益は12.0%増の268億円、経常利益は11.5%増の273億円、当期純利益は16.2%増の185億円となった。

 大塚商会の大塚裕司社長は、「売上高、営業利益、経常利益は、過去最高になった。売上高よりも、利益の伸びが大きい。いわば大塚商会の巡航速度に戻ってきた」と総括した。

大塚商会の大塚裕司社長
大塚商会の大塚裕司社長

 通期のセグメント別連結売上高は、システムインテグレーション事業が前年同期比6.2%増の2166億円。サービス&サポート事業が4.8%増の1407億円。その他の事業が5.2%減の1億円となった。

 複写機の販売台数は、前年同期比6.0%増の2万5440台。そのうち、カラー複写機が8.1%増の2万4270台。PCは、8.5%減の43万5431台。サーバは13.0%減の1万6021台。タブレットを含むクライアント合計では10.8%減の45万3087台となった。

 「JEITAの集計では、PCの出荷台数は第1四半期が6.0%減、第2四半期は1.3%減であるのに対して、大塚商会では、第1四半期は13.7%減、第2四半期は0.6%減。第2四半期は業界全体を上回った」とするが、JEITAの集計には、低迷しているコンシューマー向けPCが含まれており、市況が上向いているコマーシャル向けPCだけの大塚商会は、相対的に苦戦傾向にあるといえる。

 「Windows 10への入れ替え提案や、Windows XPのサポート終了によって入れ替えたPCが二巡目のリプレースに入っており、下期にはこれらの動きがプラスに影響するだろう。クライアントビジネスを強化したい」と語った。

 2017年6月時点の正社員数は、前年に比べて119人増加し、8779人。1人あたりの売上高は4073万円と、前年同期比165万円増となり、「Windows XP特需を抜いて、過去最高になった」とし、「大塚商会の1人あたりの効率性向上は、これ以上は難しいのではないかとの指摘もあるが、まだ前進が続いている」と強調した。

 大塚商会単体の売上高は、前年同期比4.6%増の3247億円、営業利益は9.7%増の243億円、経常利益は9.5%増の253億円、当期純利益は14.6%増の174億円となった。そのうち、重点戦略製品では、「たのめーる」の売上高が前年同期比3.4%増の774億円、統合業務ソフト製品「SMILE」が12.4%増の59億円、ナレッジマネジメントシステムである「ODS21」が12.1%増の320億円、セキュリティビジネスの「OSM」が4.1%減の347億円となった。

 「セキュリティビジネスは、昨年同期に、ランサムウェアの蔓延により、大きな特需があったが、それが沈静化し、それがOSMのマイナスになっている」とした。

 オフィス向けサプライ通販の「たのめーる」は、2017年6月末時点で、137万4627口座となり、前年同期比8.1%増。「低収益製品を削減したことで、売上げの伸びは鈍化しているが、まだ数字の伸びが期待できるビジネスである」とした。

 クラウドビジネスであるASPは、202万人が利用。半年間で9万人が増加したという。なお、サプライと保守契約を含むストックビジネスの売上高は1324億円。「2005年の年間の水準を半年で達成している」と述べた。

 また、連結子会社のネットワールドが、売上高で前年同期比20.4%増の456億円となっており、「仮想化ソフトウェア、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ、バックアップセキュリティを含めて好調さを継続している」という。

業績見通しは据え置きに

 一方、2017年度(2017年1~12月)の業績見通しは据え置き、売上高が前年比4.3%増の6710億円、営業利益が3.3%増の410億円、経常利益が2.0%増の416億円、当期純利益が2.3%増の272億円を目指す。

 「連結営業利益は2年連続での計画未達となっている。嘘つきであった自分を戒めるためにも、着実に計画を達成したい。計画は据え置いているが、気持ちはもっと上にある」と語ったほか、「中期経営計画では、影響利益率、経常利益率ともに7%を目指す。上期はいずれも7%台となり、過去最高だが、例年は下期に低くなる傾向がある」などとした。

 2017年度下期については、地域営業部主体の運営で、現場力、お客様接点の強化を進める。地域営業部主体の体制は、2016年8月からスタートしており、商品軸の営業体制から地域軸へとシフトすることで、顧客に密着した営業活動の強化につながっているという。

 「営業部長は地域の社長という意識を持ってもらい、現場力を強化した。創業時の体制は、まさに地域営業主体であったが、取り扱い製品の拡大にあわせて商品軸での体制強化やセンター化を図ってきた。もう一度、原点に回帰し、地域密着で営業を進める」と述べた。

 また、「27万社の取引先があるが、そのうちの65%が1つの製品やサービスだけの取引となっている。オフィスで使われている大塚商会の取引品目は、コピー機やPC、サーバなど10種類以上ある。複合的な取引を行うクロスセルを進めたい」と語った。クロスセルの拡大は数年前から同社にとって重要な課題の1つとなっていたが、なかなか構成比が上昇していない。「実際にはクロスセルの実績は増えている。だが、新規取引先が増加しており、なかなか構成比が上がらない」と説明している。

 社内でAIの活用を開始し始めたことについても言及。電話オペレーターが回答時に、PCに回答内容をポップアップしたり、音声を自動テキスト化したりといった活用のほか、これまでの大戦略やSPRで蓄積したビッグデータを活用した予測分析、マーケティングオートメーション、コーポレートサイトでは、同社のキャラクターであるパソコン君が、チャットボットで受け答えを行うサービスの提供などを開始しているという。

 また、働き方改革として、2017年7月から、営業職を対象にしたテレワークの試験運用を開始。半休制度を新設するとともに、在宅勤務制度を開始したことを明らかにし、「常に働き方改革を先取りし、生産性を向上してきたのが大塚商会の歴史。労働環境の整備やテレワーク、残業抑制などの自社事例をもとにお客様対応を図っていく」とした。

 同社では、4月から、テレビ東京の毎週火曜日午後22時54分からの5分番組「風景の足跡」を、1社提供番組として放送する。「大塚商会が1社提供するのは創業以来初めてのこと。第1回目は秋葉原を取り上げていた。秋葉原は大塚商会の創業の地である」などと述べた。

 下記は決算発表会のスライド。

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