海外コメンタリー

SAPのミレニアル世代CIOが語る、ユーザー中心のIT部門が従うべき基本原則

Michael Krigsman (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2017-08-28 06:30

 現在IT部門は過渡期にあり、多くの最高情報責任者(CIO)が、重心をインフラや運用から、業績やイノベーションに移している。

 IT部門の主な目標は、優れた運用や、予算内で締め切りまでにプロジェクトを成功させることではなく、ユーザーから信頼を寄せられる基盤となることになっている。最近では、ビジネスのニーズに基づいて、利害関係者と協働しながらIT部門の活動に優先順位を付けていくことが、よいCIOの条件とされている。

 技術の面倒を見ることが仕事だったCIOが、イノベーターに変わるのは難しい。今のユーザーは、IT部門の対応を何日も、何週間も、あるいは何カ月も待ったりはしない。

 人々の働き方が変化していることも、困難が増す要因となっている。従業員は、オフィスでも、夜中の自宅でも、バケーション中のビーチからでも、安全で、簡単に、常時アクセスできる環境を期待している。いまや労働者にとって、安全なモバイルオフィスは必要不可欠だ。

 これらの変化を受けて、最先端のCIOたちは、意思決定の際の視点をシステムからエンドユーザーに移し、顧客中心の考え方を取るべきだと強調している。これはユーザーの満足度が、IT部門の成功を測る重要な指標になったことを意味している。

 こうした変化が起こっていることを考えれば、ITインフラ畑ではなく、ビジネス畑の若いCIOが登場してくることは当然だと言える。

 Constellation ResearchのDion Hinchcliffe氏と筆者は、そういった新しいCIOの1人から話を聞いたThomas Saueressig氏は、エンタープライズソフトウェア企業であるSAPのCIOであり、Fortune 500企業で数少ないミレニアル世代のCIOの1人だ。

 議論は多岐にわたり、ユーザーに対する共感や、新しいIT部門のあり方、イノベーションを可能にする技術としてのクラウドの役割などについても話し合われた。Saueressig氏はまた、顧客に素早く対応できるIT組織を作り、運営する方法についての基本原則についても語った。

--SAPのCIOとして、ご自分が担っている役割を説明してください。

 (SAPにおける)新しいビジネスモデルを支援し、それらのビジネスモデルを実現可能にすることです。SAPは創立から45年経っており、もともとはメンテナンスライセンス事業モデルの会社でしたが、現在は急速にクラウドに移行しており、サブスクリプションと利用量に応じた課金(モデル)の会社になりつつあります。わが社は、世界でもっとも革新的なクラウド企業になることを目指しています。

 CIOとして、私はこれを可能にしなくてはなりません。SAPが企業として、これを達成するのを可能にする必要があります。まず、これらのデジタルビジネスモデルやデジタルビジネスプロセスを実現するという役割があります。その一方で、従業員にデジタルワークプレースを提供する役割も担っています。さらに、SAPユーザーの生産性を世界一にするのを支援する役割もあります。

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