日本オラクルは8月28日、サーバやストレージなどのハードウェア製品を中核とするインフラストラクチャ製品群の事業戦略説明会を開催した。
同社が言う“インフラストラクチャ製品群”とは、買収によってラインアップに加わったサーバやストレージ、それらを組み合わせた「Exadata」などのエンジニアードシステムを指す。これらの製品群はオンプレミスでの利用が中心になるが、同社では現在、自社で提供するパブリッククラウド環境でもこれらのシステムをインフラとして活用していることから、シームレスにオンプレミスとクラウドをつなぎ、柔軟な移行パスを実現できる点が強みとなる。
日本オラクル常務執行役員 クラウド・システム事業統括の大月剛氏
事業戦略を説明した常務執行役員 クラウド・システム事業統括の大月剛氏は、クラウドへの移行支援を「Journey to the Cloud」と呼び、将来のクラウド移行を念頭に置きつつ、日本ではまだ根強い需要があるオンプレミス向けのシステムのビジネス拡大に取り組んでいくとした。
同日付で新製品としてテープストレージ「StorageTek SL4000」の国内提供も発表された。前世代に当たるSL3000と比較すると、カートリッジテープの巻数は約1.5倍の最大9000巻、ドライブ数は約2倍の最大120台が搭載可能で、拡張性が高まっている。
根強いニーズのあるテープストレージを進化させている(出典:日本オラクル)
磁気テープ分野では、2011年に富士フイルムが実用化した「バリウム・フェライト」(BaFe)磁性体により、加速試験で30年相当の負荷を掛けても劣化しない長期保存性が実現されるなど、技術革新も継続しており、大容量/低コストで安定的な保存媒体として今後も堅調なニーズが見込めるという。
さらに、2018年3月末にPCI-DSS対応が必須化される予定であることを踏まえ、短期間でPDI-DSS対応を実現するデータベースアプライアンスとして「Oracle Database Appliance」(ODA)および「Oracle MiniCluster」を対応ソリューションとして販売を推進していく。
クレジットカードセキュリティのPCI DSSソリューションと展開する2製品(出典:日本オラクル)
これらは事前構成済みのアプライアンス/エンジニアードシステムとしてデータベースプラットフォームを短期間で運用を始められることに加え、PCI-DSSに対応した設定スクリプトなどが組み込まれている。簡単なユーザーインターフェイスでPCI-DSS基準を満たすデータベース・システムとして運用できる。価格や拡張性は異なることから、ODAがエントリーモデルとして小規模環境に対応し、大規模環境はMiniClusterがカバーする。
同社は、パブリッククラウドサービスで利用しているのと同じソフトウェア/ハードウェアからなるソリューションスタックをオンプレミスでも利用できる強みを生かし、アプライアンス/エンジニアードシステムによる事前構成済みソリューションを提供することで、将来的にはクラウドの活用も念頭に置く。だが、まずオンプレミスでのシステム構築を考えるユーザー向けにアピールしていく、というのが当面の戦略となる。
ハードウェア事業戦略の骨子(出典:日本オラクル)