レガシーエンタープライズソフトウェアベンダーは衰退しつつあるとも言われているが、これは少し誇張され過ぎているかもしれない。Oracleの業績発表からは、従来の顧客ベースを「XaaS」の顧客に転換し、新たな収入の柱とするための戦略と活動が見て取れる。
Oracleが発表した第4四半期の業績は、多くの面で力強いものだったが、その要点は「レガシーはまだ生きている」の一言で言い表せる。このOracleの業績と、Red HatとVMwareの好業績を併せて考えれば、これらの大手レガシーソフトウェア企業が状況に適応しつつあることが見て取れる。
StifelのアナリストBrad Reback氏は、Oracleの第4四半期業績発表後の調査ノートで、今の状況を次のようにうまく説明している。
Oracleの好調と、Red HatおよびVMwareの最近の堅調ぶりを総合すると、IT業界の状況が大きく変化しているにも関わらず、レガシーソフトウェアベンダーの業績は、今後も改善していく可能性が高いと考えられる。またこれは、エンタープライズソフトウェアを変更することの難しさや、レガシーソフトウェア企業が巨大なインストールベースを抱えているという有利な立場を活用して、状況に適応することが可能であることを示している。
SAPも同様だと見なしてよいかもしれない。
これらの大手エンタープライズソフトウェア企業は、ライセンスベースのビジネスモデルとクラウドベースのビジネスモデルを組み合わせて、ハイブリッドなビジネスモデルを生み出そうとしている可能性がある。
大手エンタープライズソフトウェア企業は、既存の顧客をXaaSモデルに転換させられれば、必ずしも新規のクラウド顧客を獲得する必要はない。Oracleのソリューションバンドル(データベース、HRM、CRM、ERP、インフラストラクチャ)は強力で、顧客は有利な契約を結ぶことができる。Oracleには、約1万3550のアクティブなSaaSの顧客がいる。
また、「Oracle Cloud at Customer」にも採用事例が出てきた。OracleはAT&Tがオンプレミスデータベースをクラウドに移行する予定だと発表している。その売り上げは第4四半期の業績には計上されなかったが、この契約は戦略的なものだ。Oracleは、サービスを顧客のデータセンターで実行することによって、ハイブリッドクラウドとパブリッククラウドの間を橋渡ししようとしている。
最高技術責任者(CTO)Larry Ellison氏と、最高経営責任者(CEO)Mark Hurd氏は、この契約について説明を行った。Ellison氏によれば、AT&Tのものと似た契約が複数進められているという。「今会計年度中に、PaaS事業とIaaS事業の両方が急速に成長する段階に入り、現在のSaaS事業と同様の成長を見せると予想している。これは、顧客が数百万件のOracleデータベースを、Oracleのパブリッククラウドの第2世代に移行し始めているためだ」(Ellison氏)