米国時間8月21日にNode.jsコミュニティーを揺るがした出来事は、起こるべくして起こったことだった。関係者が米ZDNetに語ったところによると、同コミュニティーは混乱の収拾に向けて努力するとともに、今後に備えるべく取り組んでいるという。
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インターネットの世界におけるソフトウェア開発者の共同体として世界最大規模を誇るNode.jsコミュニティーは、ガバナンスとリーダーシップという点で何年もの間、組織的な失敗を繰り返し、ついに限界点に達した。
Node.jsはパワフルなオープンソースのウェブテクノロジを実現すべく、日夜取り組んでいる。そして、MicrosoftやNetflix、PayPalといった多くのFortune 500企業における重要なインフラや中核的な業務の運用は、同テクノロジに支えられてきている。
Node.jsのガバナンスが安定して維持されることは、それに依存する企業だけでなく、幅広く利用されている同テクノロジの開発や発展を支える中核コミュニティーにとっても必要だ。
しかし21日、Node.jsプロジェクトの日々のガバナンスに責任を持つグループであるTechnical Steering Committee(TSC)から複数の委員が次々に辞任した。そして同日のみで、TSC構成委員の3分の1(初の女性委員も含む)がその役割を辞した。辞任した委員のうちの3名は、 プロジェクトにおける重要な協力者やコードのコントリビューター(貢献者)を統括するCore Technical Committee(CTC)に残留する意向を示した一方、同プロジェクトから完全に去った委員も1名いた。
このように辞任が相次いだ直接のきっかけは、Node.jsコミュニティーの古参メンバーであり、TSCの前ディレクターである人物をTSCから解任するという決議が否決されたことだった。TSCのウェブページに掲載されていた(現在は削除されている)不満の声の多くは、同コミュニティーの行動規範に違反する数々の行為を指摘するものだった。
この人物を退任に追い込めなかったという事実は、同コミュニティーを二分する一連の問題行動を正そうとする何年にもおよぶ取り組みのまずさを象徴するものだと捉えられている。
3つの運営委員会を統括するNode.js理事会に選出された2人の委員のうちの1人であるWilliam Kapke氏は「もしも誰かが決定的な証拠となるコメントや、明らかな物証、すなわち人種や性別に関する何かや、世界に向けて指摘できる何かを探し出せていれば、今回の件はとっくに解決し、終わっていたはずだ」と述べている。
米ZDNetが話を聞いた数名の関係者(匿名を条件とする人物も複数いた)によると、TSCがリーダーシップを発揮できなかった結果、Node.jsコミュニティーを揺るがすような一連の出来事につながったのだという。
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米ZDNetに話をしてくれた人々によると、Node.jsコミュニティーを揺るがした21日の出来事は、起こるべくして起こったことだったという。
TSCは、同委員会の前ディレクターであり、Node.js理事会のメンバーであるRod Vagg氏の過去の言動に対して数々の不満が寄せられていたにもかかわらず、同氏の進退をめぐる21日の投票決議において、同氏を現職にとどめるという決定を僅差で下した。理事会のエグゼクティブディレクターであるMark Hinkle氏は、米ZDNetが本記事のためにコメントを得ようと連絡を取った際には何も述べなかったものの、公式声明において、理事会は委員らの辞任に関して「深く懸念している」と述べている。理事会はTSCに対して、この状況に対処するためのプロセスが確定するまでVagg氏の職務を停止するよう要請した。