アイ・ティ・アール(ITR)は10月5日、IT予算の増減や製品/サービスへの投資意欲、企業課題の解決を担うべき推進部門などに着目した調査結果の一部を発表した。
調査結果を発表した同社取締役/シニアアナリストの舘野真人氏によると、2017年度のIT予算を前年度から増やすとした企業の割合は34%となり、28%だった前年と比較して上昇した。
取締役/シニアアナリストの舘野真人氏
一方、減らすとした企業の割合は、2001年の調査開始以来で最も低い水準となった。ただし、20%以上の大幅な増加を見込む企業の割合は一貫して低下している。
このIT予算の増減傾向を指数化した「IT投資増減指数」を見ると、2017年度の実績値は「2.58」となり、前年調査時の予想値「1.73」を大きく上回った。2018年度の予想値は「2.43」としている。2017年度の実績値より下回っているものの、近年の前年予想値は実績値と同等かそれ以上となっていることを考えると、2018年のIT投資も上向きの傾向が期待されると説明した。
IT部門への期待大きいが例外も
昨今課題となっている7つのテーマについて、推進役を担うべき部門や組織を調査した。結果、全てのテーマで、既存のIT担当部門が推進役を担うべきだとする割合が最も多く、特に「クラウドサービスの導入・利用拡大」と「サイバー・セキュリティ被害への対応」においては、50%を上回る割合を占めることが分かった。
一方で、AI(人工知能)やIoTの導入、デジタルビジネスや働き方改革といったテーマにおいては、既存のIT部門が中心になるべきとする割合が半数を下回っており、相対的にIT部門の関与度が低くなることが予想されるという。
AI/機械学習への新規投資が拡大
また、製品/サービスの投資意欲を確認するために、110項目について現在の導入状況と今後の投資意欲について聞いた。導入済み企業における次年度の投資額の傾向を調べた。
各種OSや基盤系ソフトウェア、管理ツールなどをまとめたOS/ミドルウェア分野では、「AI/機械学習」と「運用自動化」の2項目が前年に続いて投資意欲を伸ばし、新規導入可能性と投資増減指数ともに上位になった。
また、新たに調査項目に加えた「ディープラーニング」と「ブロックチェーン」は、新規導入において投資意欲が極めて高いことが分かった。
サーバ・システムやデバイスなどを含むインフラ/デバイス分野では、IoT/M2Mが、業務を直接的に支援するアプリケーション分野ではビジネスインテリジェンス/データ分析が、どちらも複数の業種で最も高い指数を示した。「総じて、国内企業が新分野のテクノロジに積極的に投資する姿が鮮明に表れている」と指摘した。
セキュリティ分野では、前年には落ち着きつつあると見られたDLP(Data Loss Prevention)や「デジタル・フォレンジックの新規導入意欲の再上昇を確認。CASB(Cloud Access Security Broker)、SOC(Security Operation Center)/マネージド・セキュリティ・サービスといった新たな技術・環境に適応する項目は非常に投資意欲が高く注目を集めている。
調査は8月から9月にかけて実施。国内企業のIT戦略・IT投資の意思決定に関与する個人とし、2554件の有効回答を得た。
以下は調査結果資料の一部。