米Progress Softwareは、OData(Open Data Protocol)によるセキュアなデータ接続に対応する「Hybrid Data Pipeline」を開発し、国内向けの展開を始める。プロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのDion Picco氏は、「2016年末にODataがISO/IEC 20802-1/2として指定され、ファイアウォール越しのデータ接続が本格化していく」と話す。
同社は、ODBCやJDBC、ADO.NETなどを介したアプリケーションやデータベースのコネクタを長年にわたって手掛けている。主要顧客のISVがクラウドアプリケーションを展開するようになり、「データ量やリスクの増大が懸念される。従来のAPIでは提供元による細やかな差異やクエリ、メタデータへの対応に課題があり、開発者を悩ませていた」という。
「Hybrid Data Pipeline」のアーキテクチャ
Hybrid Data Pipelineは、同社が2013年から提供するデータ接続のクラウドサービス「DataDirect Cloud」をパッケージ化したソフトウェアとなる。ODBCなどの従来形式やODataのRESTful APIによるデータ接続の機能と、プロキシやアクセス制御、SSH接続、認証などのセキュリティ機能を提供している。
Picco氏は、特にクラウドを利用した高度なデータアナリティクスへの需要がデータ接続の課題を顕在化させるとみる。「2019年には世界で300億ドル市場になるとの予測もあり、ユーザーはISVが提供している各種APIに対応していかなければならない。オンプレミスのアプリケーションやデータベースとクラウドを接続するようになれば、ファイアウォールをセキュアに越える対応が求められる」
Progress Software プロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのDion Picco氏
同社はODataの標準化にも関わり、Hybrid Data Pipelineでは「Universal API」をコンセプトに掲げる。「標準化されたODataを採用する動きが広まれば、ユーザー内の環境とクラウドを『プラグ・アンド・プレイ』のように、迅速かつ容易に接続していくことが必要になる。基幹業務アプリケーションにおいて既にその取り組みが始まっている」
例えば、会計サービスのIntuitでは、約1万人の営業担当者が利用する顧客関係管理(CRM)アプリケーションをOracle SiebelからSalesforceへ移行する際に、オンプレミスのSiebelからクラウドのSalesforceへデータを取り込むコネクタとして採用した。「短期間でオンプレミスにある大量の顧客データをSalesforceで利用する仕組みとして導入されている」
Picco氏によれば、同様の動きはビジネスインテリジェンス(BI)ベンダーや一部のERPベンダーの間に広がり始めた。ODataが、新たなデータ連携の標準になったことで、今後はISVにおける対応が加速していくといい、国内でもISVなどにおけるODataへの対応支援にあたっていく考えだ。