米Accentureは、12業界にわたる10種類のデジタル技術と企業の時価総額との関係について調査した。その結果によると、新興技術を最適に組み合わせることで、企業は時価総額を平均で60億ドル高められることが判明したという。
調査は、企業におけるデジタル技術の活用状況と活用によって得られる効果を把握する目的で実施された。対象となったのは日本を含む21カ国、12の業界における大企業の上級役職者931人。さらに、その結果を踏まえて10種類の重要技術を特定し、調査データと企業の財務情報の両方を利用して、売上と収益の値に大きな影響を与える技術の組み合わせを見極めるための経済価値モデリング(時価総額と従業員1人あたりのコストによる評価)を策定した。その後、機械学習の結果と主な要素の分析結果を統合することで、最適な技術の組み合わせを特定していった。
調査によると、「デジタル技術への投資によって新たな収入源を創出し、業務効率化と成長を実現できている」と答えた回答者は13%にとどまった。Accentureは、この結果の要因が、デジタル技術への断片的な投資によるものだと分析している。
一方、検証の結果、3Dプリンティングや人工知能(AI)、拡張現実(AR)・仮想現実(VR)、自律型ロボット、自動運転車、ビッグデータ分析、ブロックチェーン、デジタルツイン(現実世界における産業機器や製品の状態などの情報をデジタル上で再現すること)、機械学習、モバイル・コンピューティングといった技術の組み合わせは、業界によって差があるものの、大きなインパクトを生み出すことが分かった。例えば、産業機器メーカーは、ロボティクス、AI、ブロックチェーン、ビッグデータ分析、3Dプリンティングの技術を組み合わせることで、従業員1人あたり4万3000ドル以上のコスト削減が可能になるという。またエネルギー企業の場合は、VR、ビッグデータ分析、AIといった技術を組み合わせることで、時価総額を160億ドル以上高めることが可能となるとのこと。
Accentureで「インダストリーX.0(エックス・ポイント・ゼロ)」事業を統括するマネジング・ディレクターのAidan Quilligan氏は、以下のようにコメントしている。
「企業に求められていることは、単にデジタル企業への転換を図るだけでなく、経営モデル、製品、バリューチェーンを一から見直し、デジタル技術を使ってより高い価値を生み出すことにある。今回の調査結果を踏まえると、企業は当社が提唱するインダストリーX.0を推進することでデジタルによる価値創出を加速できる。インダストリーX.0とは、技術の変化をうまく取り入れながら利益を生み出していくためのアクションプランとなる」