海外コメンタリー

セキュリティだけではない、クラウドへの移行を阻む3つの懸念 - (page 2)

Christine Parizo (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2017-11-15 06:30

アプリケーションのスケーラビリティとレイテンシにまつわる懸念

 Swym Systemsの最高経営責任者(CEO)Todd Millecam氏は、「クラウド上での業務遂行を考えると、コンピュータリソース1台あたりにかかるコストは、自社でハードウェアを購入する場合よりも高くなる。クラウドの利点は、業務の管理やメンテナンスにかかわるコストが可変であるという点にあるのだ」と述べている。とは言うものの、クラウドに移行してもコスト上のメリットを見出せない企業もあるはずだ。Millecam氏は例として、既に数多くのワークステーションを導入しており、ITスタッフを多数雇用している中規模企業や、DevOps要員を既に配置しており、クラウドプロバイダーによる管理サービスを必要としていない大企業を挙げている。

 「予想される労働コストがホスティングコストの2倍を下回るという場合、クラウドはコストパフォーマンスに優れた選択肢とはなり得ないだろう」(Millecam氏)

 Millecam氏は、アプリケーションのレイテンシに対する許容度合いも考慮すべきだと述べている。科学技術関係や医療関係といった、レイテンシに対する要求が厳しいアプリケーションを使用している企業は、遅延の発生というリスクを抱えることになる。同氏は「クラウドへの移行は、未知の隣人とのコンピュータの共同利用とともに、常に変化するネットワークの使用を意味している。この隣人は声が大きい、すなわち該当コンピュータのリソースを大量に使用する可能性もあるため、クラウドサーバへの経路が予期せぬタイミングで若干長くなる可能性もある」と述べている。

 クラウドプロバイダーはサービスレベル合意書(SLA)を順守してくれるだろうが、クラウドシステムのレイテンシにまつわる問題が検出されるまでに数秒の遅延が発生する可能性もある。Millecam氏は、アプリケーションに1〜2秒の遅延が頻繁に発生すると問題が起こるというのであれば、クラウドは避けるべき選択肢なのかもしれないと述べている。

 Datapriseのソリューションおよび戦略担当バイスプレジデントであるChris Sousa氏によると、特にIaaSやPaaSのアプリケーションの場合、エンドユーザーのエクスペリエンスはクラウド採用における大きな障壁となり得るという。同氏は、考えられる問題として、リモートデスクトップとVPNを挙げるとともに、「この種のエクスペリエンスはクラウド上のアプリケーションにアクセスするために追加される複雑なレイヤによってもたらされる」と述べている。

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