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Connect(); Japan 2017レポート--MSはビッグデータ時代のビジネスと開発現場を支援 - (page 2)

阿久津良和

2017-11-28 07:30

コンテナ環境の整備やデータインテリジェンスを推進

 Microsoftが開催したConnect(); 2017は開発者向けのアナウンスが多かったが、同イベントを受けて開催したConnect(); Japan 2017でも、開発者向けの新技術に対する解説が多数行われた。最初に登壇した日本マイクロソフト アーキテクト 廣瀬一海氏は、アジャイル的開発手法がバックエンドでも多数用いられ、異なる言語で構成されたサービスを組み合わせるマイクロサービスが主流になりつつあるため、アプリケーションを分離された空間で提供するコンテナに注目が集まっていると現状を説明する。


日本マイクロソフト アーキテクト 廣瀬一海氏

 このような状況を背景にMicrosoftは、OSやソフトウェア、サービスなどの構築・運用管理を自動化するオーケストレーションサービス「Kubernetes」を、Microsoft Azureの標準機能として提供する「Azure Containers Service(AKS)」のプレビュー版を先頃公開した。ドイツのシーメンスは、ヘルスケア分野でASKを用いたアプリケーションを開発し、データをグローバル分散型マルチモデルデータベースであるAzure Cosmos DBに格納。世界中で同じデータを管理し、同一のユーザー体験を提供している。

 さらに開発者にとってコンテナ化したアプリケーションの管理を容易化するための「Azure Container Registry」の活用や、同社の統合開発環境であるVisual StudioからAKSに接続し、バグ修正や動作検証を直接行う「Visual Studio Connected Environment for AKS」を新たに発表した。後者を利用するにはプレビューの申し込みが必要だが、「モダンなコンテナ開発が可能」(廣瀬氏)になるため、自社提供サービスをマイクロサービス化している企業は注目すべきだろう。

 データがビジネス価値につながるのは周知の事実だが、MicrosoftはSQL Server 2017やAzure SQL Databaseを、"ハイブリッドオープンインテリジェンス"と位置付け、新たなビジネス展開を推し進めている。消費者金融市場に機関投資家の透明性と洞察力を提供する米dv01は、PostgreSQLなどのOSS(オープンソースソフトウェア)を利用していたが、Microsoft Azure上の仮想マシンで稼働するSQL Server 2016に移行することで、クエリ応答時間を30秒から1~2秒に短縮し、管理時間を90%削減した。同社はコンテナやLinux上で動作可能になったSQL Server 2017に移行する過程にあるという。


日本マイクロソフト テクニカルエバンジェリスト 井上大輔氏

 これまでWindowsの世界に閉じていたSQL Serverが、他のプラットフォームで稼働するため、Microsoftは新たな管理ツール「SQL Operations Studio」のWindows/macOS/Linux版を無償提供した。さらにSQL Serverと完全互換性を持つPaaSの「Managed Instance」のパブリックプレビューを2017年第4四半期に、2018年に上半期GA(一般提供版)のリリースを予定している。「個人的感想としてはOSS系DBを採用する企業の5割程度が選択するMariaDB」(日本マイクロソフト テクニカルエバンジェリスト 井上大輔氏)も「Azure Database for MariaDB」としてMicrosoft Azureに対応。

 これでMySQL、PostgreSQL、MariaDBとOSS系DBの大半が利用可能になった。また、Apache Sparkベースの文責基盤となる「Azure Databricks」も新たに発表し、MicrosoftはDBにおけるインテリジェンス戦略を推し進めている。井上氏は「これまでは自身でクラスタ管理を行う必要があり、苦労が多かった。(Azure Databricksの登場で)今後はクラウド(上の処理)に移行していくのでは」と自身の見解を述べた。

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