2030年、今のITは存在しない--CAが語る”モダンソフトウェアファクトリー”構想

末岡洋子

2017-11-22 07:30

 CA Technologiesは11月13日から5日間、米ラスベガスで「CA World 2017」を開催した。16日の基調講演では最高技術責任者(CTO)のOtto Berkes氏、最高製品責任者(CPO)のAyman Sayed氏がステージに立ち、今年のデーマとなった「Modern Software Factory」を中心に、CAの戦略と新製品を紹介した。

ソフトウェアが企業のブランドに

 第4次産業革命という言葉通り、ありとあらゆる産業が変革期を迎えている。例えば自動車。数年前には想像もできなかったレベルで電気自動車の受け入れが始まっている。2030年には95%の人が自家用車を所有しないという予想も出ているくらいだ。その頃には車の自動運転化も進んでいることだろう。

 CTOのBerkes氏の2030年の予想は、「今我々が認識しているITはなくなる」というものだ。ITは「企業の重心ではなく、分散してあらゆるところで使われて価値を生むものになる」とBerkes氏。


CA TechnologiesのCTO、Otto Berkes氏

 だがそこに至るまでには、ITは変化しなければならない。「技術の進化の速度は速く、一方で組織や人は変化についていけない。技術と人の間のテンションは強まっている」とBerkes氏、それを解決するコンセプトが「Modern Software Factory」ーーソフトウェアが支援するビジネスを成功させる”ブループリント”で、品質とセキュリティを犠牲にすることなく、ソフトウェアを迅速に生み出すファクトリーとしての役割を果たす。

 「ソフトウェアは企業のブランドであり、どのような機能を持ち、どのように提供するのかが重要だ」とBerkes氏。それを実現するため、Modern Software Factoryは、1)アジリティ(俊敏性)のあるビジネス、2)インテリジェンスを利用した自動化、3)体験についての洞察(アプリの性能)、4)エンドツーエンドのセキュリティ、と4つの柱を持つ。

 4つの柱について事例を交えて話したのは、CPOのSayed氏だ。

 1)ではまず、「企業のあらゆる活動が顧客中心になる」とし、ソフトウェア開発、テスト、リリースを自動化するだけでなく、ビジネスプロセスもインテリジェントな自動化が不可欠だとした。2)と3)は、データと予測分析により製品やサービスの顧客体験を測定して洞察を得ることだ。洞察を利用して製品を改善することで、顧客体験を改善できるという。4)のセキュリティでも機械学習は中核となり、プロアクティブなモニタリングしてリスクを緩和し、脅威を事前に防ぐことができる。「セキュリティを競争優位に繋げることができる」とSayed氏はいう。


CA TechnologiesのCPO、Ayman Sayed氏

 Modern Software FactoryはCAの製品群を利用することで実現できるが、CA Worldでは既存製品の強化を含めると合計20以上の製品を発表した。その中には、買収した技術をベースとした新製品「CA Veracode」と「CA Automic」がある。Veracodeはソースコード段階でセキュリティチェックができるもので、Automicは複雑なビジネスプロセスの自動化を実現する。Veracodeでは早期に脆弱なコードをスキャンすることで”DevOps”から”DevSecOps”を実現できる、とSayed氏。また、モノリシックなアプリケーションアーキテクチャにモジュラーサービスアプローチを取り入れる「CA Microgateway」、インフラ/アプリケーション/ユーザー体験に関する洞察を得られる「CA Digital Experiece Insights」なども発表している。

 新製品や製品強化の中心はAI、機械学習の取り込みだ。メインフレーム側でも、機械学習と自動化をそれぞれオペレーションとキャパシティ管理に取り込んだ「CA Mainframe Operational Intelligence」と「CA Dynamic Capacity Intelligence」などを発表。IBM Zとの統合によりIBM Z環境のデータを活用できるようになったことも発表した。

 「AIと機械学習はソフトウェア開発に全く新しいアプローチをもたらす」とBarkes氏、「デジタル化により進めてきた効率性を最終的に刈り取るためにはAIと機械学習が必要。これからの仕事は機械と共有するということを理解し受け入れなければならない」とした。

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