サプライチェーン管理ソフトウェアを提供するJDAソフトウェアと自動認識技術のサトーグループは12月5日、倉庫管理分野で提携すると発表した。JDAの倉庫労務管理ソフトウェアと、サトーが提供する倉庫内の可視化によるピッキングの経路短縮機能などを組み合わせることで、倉庫管理システムの生産性を向上させる。倉庫レイアウトや保管方法、作業方法、従業員スキル、作業計画、人員計画などの改善により、全体で30~40%の生産性向上が見込めるとする。
倉庫の現場で生成される情報をJDAの計画系ソフトウェアに取り込み、需要予測や労務管理に活用して、それらを再び現場の改善活動やイノベーションに反映するというサイクルを想定している
世界的に小売業界がAmazonの影響を受ける「Amazon Effect(アマゾン効果)」に注目が集まる中、短納期の実現や正確な納期回答によって顧客満足を獲得することが求められてくる。その意味で、倉庫を軸にしたサプライチェーンの最適化がより重要になっているという。
サトーが提供する「Visual Warehouse」は、倉庫内を3Dマップで表現。位置情報を示すロケーションコードを用いて、製品をピッキングする従業員が通る最短経路を示す。従業員動線や滞留、稼働率、エリア別の移動距離などを明らかにすることにより、人、モノの動きを可視化できる。
一方、Visual Warehouseで生成されるさまざまなデータをJDAの倉庫労務管理システムに蓄積することにより、人員に関するシミュレーション、パフォーマンスレポートなどを作成できる。これにより、より効率的な作業標準時間を割り出すことで、倉庫内の生産性を向上できる。
両社のソフトウェアを組み合わせることで、倉庫の現場で生成される情報を計画系ソフトウェアに展開し、需要予測や労務管理に活用しながら、それがまた現場の改善活動やイノベーションに反映するというサイクルを築くのが狙いだ。
今後、IoTにより需要情報がリアルタイムに近いタイミングでもたらされるようになることで、サトーホールディングスの社長兼CEO(最高経営責任者)を務める松山一雄氏は「従来のような需要予測を通じたサプライチェーンマネジメント自体にも変化が訪れる可能性が出てくる」と話した。