コンサルティング会社Deloitteの予測が正しければ、機械学習にとって2018年は大事な年になる。同社が先ごろ公表したレポート「Technology, Media & Telecommunications 2018」(TMT)では、主要な予測の1つとして、企業による機械学習技術の利用は2018年末までに倍増するとしている。
Deloitteの副会長であるPaul Sallomi氏は、次のように述べている。「われわれは転換点に達している。企業の機械学習導入は加速しており、機械学習の導入によって事業運営や意志決定が改善されるだろうし、改良された、もしくはまったく新しくなった製品やサービスが生まれるだろう」
調査結果によると、人工知能(AI)の中核要素である機械学習は、「驚異的なペースで」進化するという。「2018年の機械学習の能力は、今見れば驚くようなものだが、50年も経てば、この技術の歴史の中ではよちよち歩きのような段階と考えられるだろう」と述べている。
レポートでは、機械学習の容易化や低価格化、高速化によって、企業における利用が著しく進むと考えられる領域を大きく取り上げている。最も重要な分野は新型半導体チップで、その発展により機械学習の利用が増え、アプリケーションの消費電力が減少すると同時に、反応がよくなり、柔軟性、能力も高まるという。
Deloitteは、2018年末までに、データセンターで機械学習の加速に利用されるチップの25%以上が、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(特定用途向け集積回路)になると予測している。こうした新しい種類のチップによって、機械学習の利用が大幅に増加するはずだという。
また、Deloitteは、2018年には機械学習の実装と試験プロジェクトの数が2017年から倍増し、2020年までにさらにその倍になるとも予測している。レポートには、「さらに、機械学習APIやクラウドで利用できる専用ハードウェアといった技術の実現により、こうした最新技術が大企業だけでなく小規模企業でも広く使われるようになる」とある。
機械学習とコグニティブ技術全般をめぐっては、今は興奮状態にあり、こういった技術への投資に対して強気の予測が立てられているものの、機械学習を利用しているほとんどの企業では、ほんのわずかな配備と試験運用が行われているにすぎない、とDeloitteは述べている。
コグニティブ技術を積極的に利用し、そうした活動に慣れていると回答した米国企業の幹部を対象とした2017年のDeloitteの調査によると、導入済みまたは試験運用中の機械学習の件数について、いずれも5件以下とする回答が62%を占めた。障害となる要因として挙げられたのは、適性を備えた担当者がいない、ツールやフレームワークが未成熟、一部の機械学習モデル開発技術で必要な大量のデータセットを入手するのが困難、などの点だ。
だが、オートメーションが進歩し、機械学習モデルの訓練が加速するに伴って、利用を妨げる障害が減少し、企業は機械学習技術への投資を増やし、2018年末までに機械学習の試験運用件数や導入件数は倍増するだろう。2018年末までに、機械学習を利用する大企業のうち、10件以上を導入または試験運用するところが3分の2を超えるかもしれない、とレポートは述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。