国内のクラウド市場はこれからどうなっていくのか。MM総研が先頃発表した調査結果をもとに考察してみたい。
国内クラウド市場規模は2021年度に3兆5713億円へ
MM総研が先頃、国内クラウドサービス市場規模の2016年度(2016年4月〜2017年3月)の実績と2021年度までの予測、および需要動向に関する調査結果を発表した。この調査は、クラウドサービスを導入済み、または検討中の法人計1360社を対象に、2017年12月にMM総研が実施したアンケートをもとにまとめたものだ。
それによると、2016年度の国内クラウドサービス市場規模は前年度比38.5%増の1兆4003億円と大きく成長。クラウドの持つコストやスピードにおけるメリットを背景に、社内の既存システムのクラウド移行が今後も進み、2021年度までの年平均成長率は20.6%で推移し、同年度には2016年度比2.6倍の3兆5713億円に成長すると予測している(図1)。
図1:国内クラウド市場規模の推移(出典:MM総研の資料)
パブリッククラウド(SaaS/FaaS/PaaS/IaaS)の市場規模は、2016年度が前年度比40.9%増の3883億円。2021年度までの年平均成長率は22.1%で、2021年度には2016年度比2.7倍の1兆556億円に達すると予測。また、特定の機能や関数をHTTPやモバイルアプリなどで呼び出し、その実行環境をサーバレスで利用できるサービス「FaaS(Function as a Service)」の導入が2016年度から増加し、同年度の実績は76億円になったとしている。
一方、プライベートクラウド(デディケイテッド/オンプレミス/コミュニティー)の市場規模は、2016年度が前年度比37.7%増の1兆121億円。2021年度までの年平均成長率は20.0%で推移し、クラウドサービス事業者が保持するIT資産の一部を特定の企業が専有するデディケイテッドプライベートクラウドの拡大により、2021年度には2016年度比2.5倍の2兆5157億円になると予測している。