パブリックとプライベートのクラウド市場規模が均衡?
パブリッククラウド事業者間の競争については、2017年12月調査時点の結果で利用率トップがAmazon Web Services(AWS)、2位がMicrosoft Azureとなった。また、グローバルベンダーのプライベートクラウド領域への進出は、国内ベンダーにとって大きな脅威となり、生き残りをかけたイノベーションが必要な状況になってきていると指摘している。
パブリッククラウドの種類別にみると、まず、FaaSを基盤として活用している法人が利用するサービスでは「AWS Lambda」が35.3%と最も多く、次いで「Google Cloud Functions」が28.4%、「Azure Functions」が27.6%となった。最近では、ビジネススピードの加速に伴い、アプリケーションの開発・変更に迅速に対応することが求められており、アジャイル開発が進んできている。そのため、開発スピードだけではなく、変更への柔軟性を担保できるサービスとして期待が高まっているという。(表1)
表1:パブリッククラウド事業者間の競争の状況(出典:MM総研の資料)
また、PaaSを基盤として活用している法人が利用するサービスではAWSが41.4%と最も多く、次いでMicrosoft Azureが29.0%、Google Cloud Platform(App Engine)が17.1%と続く結果となった。PaaSの利用を検討する企業においてはMicrosoft Azureが24.6%と最も多く選ばれた。
そして、IaaSを基盤として活用している法人が利用するサービスではAWSが35.5%と最も多く、次いでMicrosoft Azureが24.8%、「FUJITSU Cloud Services」が12.6%となった。AWSを追いかけるMicrosoft Azure(PaaS/IaaS領域)は、ユーザーの積極的な取り込みにより利用率が高まっており、2016年12月の調査時より3ポイント差を縮めた。上位2社における顧客獲得競争は一層激化することが予想される。
以上が調査結果の概要だが、筆者が注目したのは、2021年度のパブリッククラウドとプライベートクラウドの市場規模予測における比率がおよそ3対7になっていることだ。ただ、増加中のデディケイテッドプライベートクラウドをパブリッククラウドと同様の「サービス」と捉えれば、この比率は逆転する可能性もあるのではないか。そうなると、さまざまな異変が起きるような気がする。その意味でも今後の市場動向を注視しておきたい。