トップインタビュー

ドロップボックスが目指す「空気のようなデータ共有プラットフォーム」

松岡功

2018-01-25 13:56

 インターネット上に文書などを保存・共有するクラウドサービスを提供する米Dropboxが、従来の個人向けに加えて法人向けビジネスにも注力している。「非常に好調に推移している」という日本法人のDropbox Japan代表取締役社長を務める五十嵐光喜氏に、Dropboxの目指す姿を聞いた。

個人向け市場で鍛えられてきた「使いやすさ」に自信

 「大量のデータが日々生み出される中で、それらをクラウド上のストレージに保存し、チームのメンバー間で共有して利用しようという動きが、もはや特別ではなく当たり前のように広がってきている」――。

日本法人のDropbox Japan代表取締役社長を務める五十嵐光喜氏
日本法人のDropbox Japan代表取締役社長を務める五十嵐光喜氏

 五十嵐氏にクラウド上でのファイル保存・共有サービスの利用状況を聞いたところ、こんな答えが返ってきた。同氏が日本法人の社長を務めるDropboxは、この分野で個人および法人向けにビジネスを展開している大手クラウドストレージサービスベンダーである。

 巨大なファイルを手軽に高速で共有できる使いやすさが好評を得てサービス利用が広がり、2007年の創業以来10年で、世界での登録ユーザー数は5億人を超えた。さらに、ここ数年は法人向けビジネスにも注力しており、主力サービス「Dropbox Business」は20万社以上が利用し、Fortune500の過半数が導入しているという。非上場会社なので業績内容は公表していないが、SaaSベンダーとして見た場合、最速で年間売上高10億ドルを達成したとしている。

 Dropboxサービスがもたらすユーザーメリットは、コスト削減、コラボレーション、セキュリティといった観点から、図1に示した内容が挙げられる。五十嵐氏は、「クラウドストレージサービスというと、単なるデータの保管場所のようなイメージがあるが、コラボレーションを実現する機能によってユーザー同士が協働してさまざまな作業を行えることから、人が効率よく快適に働ける環境を提供しようというのがDropboxサービスのモットーだ」と強調した。

図1 Dropboxサービスがもたらすユーザーメリット(出典:Dropbox Japanの資料)
図1 Dropboxサービスがもたらすユーザーメリット(出典:Dropbox Japanの資料)

 とはいえ、同様のクラウドサービスは同じ専業に加え、MicrosoftやGoogleなども提供しており、競争は一段と激しくなってきている。その中でDropboxの強みは先述したように「使いやすさ」にあるが、今後もそのユーザービリティでリードし続けることができるのか。これに対し、五十嵐氏は次のように答えた。

 「使いやすさという点で私たちが確固たる自信を持っているのは、これまで個人向け市場で鍛えられてきたという自負があるからだ。使いやすさに難点があった場合、法人のお客様であれば指摘をいただけるだろうが、個人のお客様は何も言わずに立ち去ってしまう。その厳しさの中でDropboxサービスは多くのお客様に使われ続けてきた。個人向け市場で鍛えられてきた使いやすさが、法人向け市場でも大きなアドバンテージになると確信している」(五十嵐氏)

 さらに、同氏は「IT市場は今、コンシューマライゼーションの流れがハードウェアからソフトウェア、そしてクラウドサービスにも来ている。その流れの中で、既に個人向けサービスで確固たる実績を上げているDropboxは非常に面白いポジションにいる」とも。すなわち、Dropboxは時代の流れに乗っているというわけだ。「非常に面白いポジション」との表現が何とも印象的だった。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    ChatGPTに関連する詐欺が大幅に増加、パロアルトの調査結果に見るマルウェアの現状

  2. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  3. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  4. セキュリティ

    いま製造業がランサムウェアに狙われている!その被害の実態と実施すべき対策について知る

  5. セキュリティ

    ランサムウェア攻撃に狙われる医療機関、今すぐ実践すべきセキュリティ対策とは?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]