パロアルトネットワークスは2月8日、セキュリティ意識の低いユーザーや企業を標的にスパムメールでマルウェアを拡散させるサイバー攻撃(マルスパム攻撃)の分析結果を発表した。日本はマルウェア配布の踏み台にされているサーバ数が米国に次いで多いとしている。
同社によると、この攻撃では不正なマクロを埋め込んだOfficeファイルを添付するメールや、マルウェア配布サイトへのリンクを記載したメールなどが使われ、受信者がファイルを実行したり、リンクをクリックしたりすると、マルウェアの「Hancitor」(別名Chanitor、Tordal)に感染してしまう。スパムメールの内容で配達通知を装うなど、受信者をだます手口が使われている。
スパムメールからのマルウェアダウンロードは平日が多い(出典:パロアルトネットワークス)
Hancitorは、Windows Defenderなどのウイルス対策機能で検出が可能なほか、拡散に使われるスパムメールもフィルタリング機能で検出できる場合が多いという。それにもかかわらず少なくとも過去数年にわたって毎月数百件の検出が続いており、同社ではこの攻撃が古いOSを使い続けたり、ウイルス対策ソフトを導入していなかったりといった、セキュリティ意識の低いユーザーを標的にしていると分析している。
スパムメールの配信では、攻撃者に侵害されたホスティングサービスや企業のサーバが悪用されているといい、侵害されたサーバの設置国では米国が197件で最も多く、日本は23件で2番目に多い。米国ではホスティングサービスでの侵害が多い一方、日本を含む米国以外では実在企業が所有するサーバでの侵害が多く、特にアジア圏の中小企業での被害が目立つという。
マルウェア配信に使われるサーバ設置国のヒートマップ(出典:パロアルトネットワークス)
パロアルトネットワークスは、現在のセキュリティツールで対処可能にもかかわらず一定の被害が継続している状況から、「被害者はセキュリティのベストプラクティスを無視し、古いバージョンのWindowsを実行しているような企業」と指摘する。