NECと東北大学材料科学高等研究所(AIMR)は2月9日、人工知能(AI)による新材料の開発に成功したと発表した。同社が開発した「AI(人工知能)によって未知の材料の特性予測を行う新技術」を活用した。
新たに開発した技術は、材料開発の上で必要となるノウハウを組み込んだAI技術群と、AIが材料特性を学習するために必要な材料データを一括して生成するもの。AI技術には、ビッグデータに混在する多数の規則性を発見する異種混合学習技術、材料開発に特化した機械学習技術などを組み合わせている。
また、材料データの一括生成に加え、組成の異なる1000種類以上の材料データを一度に生成・評価できるようにして、AIの学習精度を大きく向上したとしている。
AIMRの齊藤英治教授らの研究グループでは、これらの技術を組み合わせた開発手法を、新しい熱電変換技術であるスピン流を用いた熱電変換デバイスの開発に適用。AIが導き出した新材料の設計指針に沿って実際の材料を設計し、熱電変換効率を強化できることを実証した。その性能指標である熱電変換効率を約1年で100倍に向上させたとしている。
今後は、AIによる新材料の物性予測技術をさらに高め、スピン流熱電変換デバイス技術の実用化や、電源がなくても数十年規模で動き続けるIoTデバイスの実現などを目指し、さらなる研究開発を進めていくという。