マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者グループが、低電力デバイスでも暗号化を行えるプロセッサを開発した。
産業用組み込みセンサやスマート照明、監視システムなどを含むモノのインターネット(IoT)は、企業にとって重要な存在となり得る。
こういったデバイスは最小限の電力しか消費しないようになっている場合が多く、またこの数年でオフィスや生産現場、一般消費者の生活圏に急速に広がってきている。
しかしこれらのデバイスは、従来のセキュリティソリューションを実装するだけの電力や手段を持っていない場合も多く、セキュリティが課題になっていた。
例えばIoTデバイスでは、暗号化の処理が問題になっている。最近ではオンライントランザクションや通信の多くが公開鍵暗号で保護されているが、多くのIoTデバイスでは、電力やメモリが不足しているため、単独で暗号化を行うことができない。
しかし、MITの研究者が開発したプロセッサを利用すれば、暗号化の問題を解決できるかもしれない。
MITの電子工学と計算機科学の研究者からなる研究チームは、公開鍵暗号の処理をハードウェアで実装することで、標準的なプロトコルに必要な処理を従来の400分の1の電力で実行できる新たなチップを開発した。
このプロセッサはメモリも従来の10%しか必要とせず、最大で500倍まで高速化できるという。
このチップではいわゆる楕円曲線暗号が使用されている。この暗号は一定の種類の数学的関数を利用するものだが、MITの開発したチップは、どんな種類の楕円曲線でも扱えるように設計されている。
このプロセッサには、データグラムトランスポート層セキュリティプロトコルもハードウェア上に実装されている。また、使用されていないときには電力消費を抑えられる。
同チームの研究内容は、米国時間2月11~15日に開催された国際固体素子回路会議で発表されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。