サイバーセキュリティ未来考

世界的に広がる「常時SSL」--暗号化で安全なネット利用、ただし課題も

吉澤亨史 2018年02月15日 06時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 本連載「サイバーセキュリティ未来考」では、注目のキーワードを読み解きながら、企業や組織におけるセキュリティ対策のこれからを占う。

世界的に広がる「常時SSL化」とは

 「常時SSL化に対応しました」と発表するウェブサイトが増えている。PCやスマートデバイスなどでウェブサイトを閲覧する際には、ウェブブラウザとウェブサイト(ウェブサーバ)の間で通信が行われるが、その通信を暗号化することを「SSL化」や「SSL/TLS化」「HTTPS化」と呼ぶ。

 SSLやTLSは暗号化の手法のことで、これにより通信が暗号化されると、プロトコルが「http」から「https」に変わる。これはウェブブラウザのアドレスバーに表示されるURLアドレスで確認できる。SSL化は、ウェブサーバ側がサイトに「SSLサーバ証明書」を適用することで、ウェブブラウザとウェブサーバ間で暗号化を確立する。常時SSL化は、これをウェブサイトにある全てのページに適用するものだ。Googleによると、常時SSL化されたウェブサイトの割合はグローバルで約25%を占めるという。

 通信を暗号化しないhttp(非SSL化)のページで、IDとパスワードなどのログイン情報や、氏名や住所といった個人情報、クレジットカード番号などの決済情報などの重要な情報を送信してしまうと、第三者に通信を盗み見されれば重要な情報が知られてしまう。そこで、重要な情報を入力するようなウェブページは以前からもSSL化されていた。

「https://~」で始まるURLは暗号化通信が行われる''
「https://~」で始まるURLは暗号化通信が行われる

 また、SSL化にはSSLサーバ証明書を使用するが、証明書によってはウェブサイトを公開している企業や団体などの実在性も証明しており、証明書から確認できる。このため、フィッシングサイトなど「なりすまし」のサイトかどうかを判断する基準にもなる。ただし、証明書の種類によるので注意が必要だ。これについては後述する。

常時SSL化によるサーバ側とユーザー側のメリット

 常時SSL化は、ウェブ閲覧の安全性を高めることを目的に、Googleが中心となって推進している。例えば、Googleの検索順位を決める際のアルゴリズムで、SSL化ページを優遇すると2014年に発表している。つまり、ウェブページをSSL化した方が、ユーザーがキーワード検索をした際に表示される結果の順位が上がるということだ。

 またGoogleは、同社が提供しているウェブブラウザ「Chrome」では、SSL化されていないページを開いたときに、アドレスバーに「保護されていません」と警告を表示する。この警告表示は、Internet ExplorerやEdge、Firefoxなどのブラウザも追従している。

Chromeブラウザの「安全ではない」の表示例''
Chromeブラウザの「安全ではない」の表示例

 Chromeブラウザでは、さらにサイト内検索のページの警告表示を強化したり、SSL化したページであっても使用しているSSLサーバ証明書の種類によって警告を表示したりする計画だ。ウェブサイトを公開している企業や団体などは、より高い認証により発行されるSSLサーバ証明書を使用しないと、アクセスしてきたユーザーに警告が表示され、不安にさせてしまう可能性がある。

 ウェブサイトを公開している側は、ウェブサーバにSSLサーバ証明書を導入する必要がある。しかし、ユーザー側は基本的にウェブブラウザを常に最新の状態にしておくことで、最新の証明書を利用できるため負担がない。また、以前はSSL化されたページの表示速度が非SSL化ページよりも遅いという問題があったが、最近では速度が逆転している。

 というのも、以前はhttpのプロトコルが「HTTP/1.1」というバージョンだったが、2015年に「HTTP/2」へバージョンアップされた。実に約20年ぶりのアップデートであり、データのやり取りの方法などが高速化され、SSL化通信との相性が良くなった。このため、SSL化されたページの方が非SSL化ページよりも高速となっている。ユーザーとしては、SSL化されたページの方が快適なブラウジングが行えて、しかも暗号化され安全という状況になっている。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
IT部門の苦悩
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
「企業セキュリティの歩き方」
「サイバーセキュリティ未来考」
「ネットワークセキュリティの要諦」
「セキュリティの論点」
スペシャル
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
より賢く活用するためのOSS最新動向
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
米株式動向
日本株展望
企業決算