VMwareはバルセロナで開催中のMobile World Congress(MWC)で現地時間2月28日、法人向けモノのインターネット(IoT)の新たな展開として、資産管理やスマート監視のユースケースに対処する新しいエッジコンピューティングソリューションを多数発表した。
プレスリリースによると、これらのソリューションは、Axis CommunicationsやWipro Limitedなど業界大手との連携を通じて開発が進められるという。エッジコンピューティングに的を絞ることにより、VMwareのソリューションは、IoTの導入によって生成されるデータを法人ユーザーが安全かつ効率的に利用しやすくしてくれるかもしれない。
VMwareサイドから見ると、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)ソフトウェアの「VMware vSAN」や、「VMware vSphere」「VMware Pulse IoT Center」が新しいソリューションの一翼を担うことになる。現時点でこれらのソリューションは、工業や製造業のほか、実店舗を構える一部小売店などの特定のニーズに対処する。
VMwareのプレスリリースに引用されているGartnerのデータによれば、「2022年までに、デジタル化された事業プロジェクトの結果として、法人が生み出すデータの75%は従来型の一元的データセンターやクラウド以外の場所で生成および処理されるようになり、現在の10%未満から増加する」という。
IoTの導入では、現場で導入する場合は特に、数km離れていることもある従来型データセンターでは実行が不可能なオンサイトでの分析が必要なことが多い。そのため、事業担当とIT担当のリーダーは、現地で分析するためのソリューションを用意する一方で、セキュリティやコンプライアンスの要件についても責任を負わなければならない。
特定用途のソリューションが合計3種類発表された。まず、VMwareはHCIをエッジにもたらすソリューションに取り組んでいる。プレスリリースによると、このソリューションは、VMware Pulse IoT CenterとHCIツールを利用して、IoTデバイスが収集したセンサデータを元に、エッジでリアルタイム分析を行うという。同社は、サードパーティー製分析キットの提供で業界パートナーと協力するとしているが、どの企業が関わるのは明らかにしていない。
またVMwareは、Axis CommunicationsやDell EMCと連携し、IoTベースのスマート監視ソリューションに取り組んでいる。Axis Communicationsがハードウェア(ネットワークカメラ、ルータ)を提供し、Dell EMCが「Dell EMC」サーバや「Dell Edge Gateways」を通じてコンピューティングに対応するという。ソリューションは、VMware Pulse IoT Centerで管理される。
プレスリリースによると、「このほか、VMwareは金融サービス組織と連携し、監視によってセキュリティと顧客体験を最適化する最新の未来型銀行を開発中」という。
VMwareは、Wipro Limitedと協力して、メーカー向けの資産追跡ツールもリリースする。Wipro Limitedの資産管理プラットフォーム「Looking Glass」などをVMwareの「IoT Edge」ソリューションと統合し、資産やデータの追跡や事前障害分析(PFA)を実現する。
「作業現場にある機械などの資産の効率と生産性が向上することで、メーカーに大きな利益がもたらされる可能性がある」とVMwareは述べている。
VMwareはさらに、MWCで米国立科学財団(NSF)とともにエッジコンピューティング研究の支援に向け約600万ドル相当の提供を約束した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。