IBM iの戦略は垂直統合プラス水平統合 - 6/6

怒賀新也 (編集部)

2018-03-15 15:02

 日本IBMは3月15日、「IBM i」シリーズの事業戦略説明会をプレス向けに開催した。旧AS/400(Application System/400)として、また「オフコン」としても知られる同シリーズはこれまで、ハードウェアのPower Systems、OSのIBM i、データベースのDb2 for i、さらに基幹アプリケーションを、垂直的に統合することによる高パフォーマンス、安定稼働が売りだった。今後は、人工知能(AI)「Watson」やクラウドとのAPI連携を含めた水平統合の要素を加え、開発を続ける。

 IBMはグローバルの取り組みとして、ビジネスパートナー、アプリケーション開発企業、人材サービス企業、IBMのアプリケーション開発運用部門などを組み合わせて構成する「IBM i統括部」を1月に新設したことも発表した。

日本IBMの専務執行役員でIBMシステムズ・ハードウェア事業本部長の武藤和博氏
日本IBMの専務執行役員でIBMシステムズ・ハードウェア事業本部長の武藤和博氏

 iシリーズは、RPG IIおよびRPG IIIを継承する形でAS/400として1988年に登場。2008年にSystem i、現在はIBM iとして展開している。ハードウェアにPOWERを活用することで「性能が13.7万倍も向上した」と話すのは、日本IBMの専務執行役員でIBMシステムズ・ハードウェア事業本部長の武藤和博氏だ。

 武藤氏は、IBM iがメインフレームのIBM Zと仮想化や信頼性確保の面で共通の技術を採用していると指摘する。

 具体的な戦略について、サーバー・システム事業部コグニティブ・システム事業開発でIBM i統括部の部長を務める久野朗氏は、IBM iのロードマップに関して、3月20日にIBM iが稼働するハードウェアとしてPOWER 9搭載サーバを出荷すると発表。IBM iとしては、3月16日に「IBM iV7.3 TR4」の提供を開始する予定だ。

 アプリケーション開発やインフラ運用を支えるエコシステムも強化する。IBMは3月7日から、RPGアプリケーションの開発、運用支援サービスについて、自社による一貫した支援体制を敷く。さらに、IBM i技術者を育成するため、パーソルテクノロジースタッフおよびマンパワーグループといった人材サービス企業と協業することも3月15日に明らかにした。

 パートナー向けには、RPGアプリケーションのリモート開発、運用サービスの推進のため、共通の標準サービスレベルを定義し、パートナー各社でサービスを提供する取り組みについて、2017年7月6日に案内し2月時点で11社の協賛企業を得ているという。

 IBM iの導入企業として紹介されたのが、九州三菱自動車販売。IPカメラで取得した自動車のナンバー情報とIBM i上のデータベースを突き合わせ、顧客情報を即座に照会し、その情報を店舗端末に音声と画面で通知する。結果として、店舗では速やかな顧客対応が実現し、満足度の向上につながっているとする。

 IBM iの保守事業を柱とするベル・データの小野寺洋社長は「オープン化の流れにより、IBM iから他のシステムに移行した企業が、レスポンスの問題などでIBM iで再度システムを作り直すケースなども見られる」と、IBM iによるシステム構築の利点に触れた。

パートナー企業、ベル・データの社長を務める小野寺洋氏。

パートナー企業、ベル・データの社長を務める小野寺洋氏。

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