GitHub、欧州の著作権保護関連の提案がソフトウェア開発に及ぼす影響に懸念示す

Steve Ranger (ZDNet UK) 翻訳校正: 編集部

2018-03-19 13:31

 GitHubは、オンライン上での著作権侵害を防止するための欧州委員会(EC)の提案により、オープンソースソフトウェアの開発に大きな影響が及ぶ可能性があると警鐘を鳴らした。

 ECが提案している著作権に関する指令の第13条には、ユーザーからアップロードされた大量のコンテンツを保管し、そうしたコンテンツへのアクセスを提供するサービスプロバイダーは、著作権で保護されたコンテンツへのアクセスをブロックできるような対策を取る必要があると記されている。

 この指令は主に、著作権で保護された動画や楽曲のオンライン上での不正な共有を対象としたものだ。しかしGitHubは、この規則がソフトウェア開発をも対象とするほど幅広く解釈できる点を懸念している。

 ECの提案には「このような対策、(例えば)効果的なコンテンツ認識テクノロジの利用が適切かつ妥当となる」と記されている一方で、GitHubはこの提案について、オンラインプラットフォームがアップロードされたコンテンツを、プログラムコードを含めてフィルタリングしなければならないと解釈できる点を懸念している。しかもGitHubは、そのようなアップロードフィルタがプライバシーや言論の自由にかかわる問題を提起するだけでなく、効果的なものにならないだろうとも述べている。

 GitHubはブログに「コンテンツ検知ツールは欠陥(偽陽性が検出され、あらゆる種類のコンテンツに適しているわけではない)があるうえに、負荷が高く、特に中小企業では導入時や、訴訟になった時の負担に耐えられない可能性がある」と記している

 GitHubによると、アップロードフィルタは特にソフトウェア開発者の懸念を呼ぶものだという。その理由は、開発によってプログラムコードという、著作権による保護が可能な成果物が生み出される一方で、オープンソースライセンスを選択する開発者は自らのコードを共有できるようにしたいと考えるところにある。

 GitHubは偽陽性や偽陰性が「ソフトウェアコードにおいて特に発生しやすくなる」とし、「というのも、コードは多くの貢献者とレイヤによって成り立っており、異なるコンポーネントに対して異なったライセンスが適用される場合もしばしばあるためだ」と記している。

 またGitHubは、コードホスティングプラットフォームにスキャンを実行して自動的にコンテンツを削除するよう要求することは、依存する何らかのコードが偽陽性と判定され、除去された際に、「ソフトウェア開発者らに劇的な影響」を与える可能性があるとも記している。

 Free Software Foundation(FSF)の欧州における公式の姉妹団体であるFree Software Foundation Europe(FSFE)と、企業と政府組織におけるオープンソースソフトウェアの利用を推進する欧州の非営利団体OpenForum Europe(OFE)が開始した「Save Code Share!」(コード共有を守ろう!)というキャンペーンは既に、The Document Foundation(TDF)やopenSUSE、GitHubなどからの後ろ盾を得ている。

 同キャンペーンは公開書簡において、欧州連合(EU)の「著作権改革」が本質的に、自由(フリー)なオープンソースソフトウェアを支える土台を弱体化させるものだと警告している。

 また同書簡には「この提案の下では、コードホスティングプラットフォームは、本質的に欠陥のあるフィルタリング技術を開発することで、著作権侵害の可能性があるものすべてを阻止するよう強制される。このようなフィルタリングアルゴリズムは究極的に、ソフトウェア開発者が共有を許される成果物を決定することになる」と記されている。

 米ZDNetはECにコメントを求めているが、返答は得られていない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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