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現場主導でグループ120社の経理システムを共通化--東京急行電鉄の相澤氏 - (page 2)

日川佳三

2018-04-11 07:30

パッケージソフトとSIベンダーを慎重に選定


東京急行電鉄の財務戦略室主計部で課長代理を務める島田龍之氏

 「カスタマイズを減らしても、現場では運用できる」と、主計部で課長代理を務める島田龍之氏は指摘する。無視しても構わない画面については、無視して欲しいということをマニュアルに書いておけば問題なく運用できるという。「導入から3カ月は文句ばかりが上がってきたが、4カ月くらいから文句が出なくなる」(島田氏)

 経理システムのパッケージソフトの選定とSI(システム構築)ベンダーの選定はきっちり行った。パッケージソフトについては、固定資産だけで10万件あるような特殊な企業なので、類似会社での導入実績を重視した。結果として、NTTデータ・ビズインテグラル のERPパッケージ「Biz∫」(ビズインテグラル)を導入した。

 SIベンダーについては、プロジェクトを進める体制を重視した。コストについては、安ければよいというものではないという。何らかの制約が付くなど、安いものには安いなりの理由がある。これを見極めないといけないという。

 カスタマイズをせずにパッケージの標準機能を活用することや、開発費だけでなく10年間使う際の総コストなども判断の材料とした。さらに、RFP(提案依頼書)を投げてから提案を受けるまでの間に、中間チェックポイントとしての打ち合わせの機会を設け、方向感をすり合わせた。選定の結果として、NTTデータを採用した。

全社でのシステム共通化に向けて団結


NTTデータのコンサルティング&マーケティング事業部で課長を務める池田研人氏

 システムの基盤には、IaaS型クラウドサービスのAmazon Web Services(AWS)を使っている。NTTデータからは費用の安さからオンプレミスのシステムを提案されたが、議論の結果、AWSにした。結果としては正解だった。グループ展開は不確実で会社が増えたり減ったりするのは当たり前。クラウドであれば、システムリソースを柔軟に変更できる。

 カスタマイズは極力しないが、どうしても必要な機能のために、カスタマイズ開発のワーキンググループを置いた。個々の会社から「この機能が必要」という声が上がった際には、他の会社が必要としているのかを議論した。こうして検討した案件の半分は脱落し、残りの半分は採用した。

 システムの共通化にあたって、標準の業務フローに関するドキュメントを作って各社に配った。さらに、NTTデータからの提案を受けて、グループ全体で勘定科目を統一した。勘定科目のコード10桁のうち上6桁を共通化し、下4桁は勝手に決めてよいこととした。統合データベースを構築して分析するために有効な手立てだ。

 ユーザー部門主導でプロジェクトを進めたことから、システム構築フェーズにおける意思決定も即座に決まるメリットがあった。現場のユーザーが「こうしたい」と思ったら、即座に「こうしよう」と決められる。「スムーズで、決断が速く、ブレない」(島田氏)

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