Gartner Summit

現場主導でグループ120社の経理システムを共通化--東京急行電鉄の相澤氏

日川佳三

2018-04-11 07:30

 「システム開発プロジェクトを成功させる秘訣は、情報システム部門ではなくユーザー部門が主導することだ。要件が決まっている案件なら情報システム部門主導でも構わないが、やりたいことがあるなら自らが中心となってプロジェクトを進めた方がうまく行く」―。

 3月16日、「ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略&アプリケーション・アーキテクチャ サミット2018」のセッションの1つとして、東京急行電鉄のユーザー部門である主計部に在籍する相澤巧一氏と島田龍之氏が登壇。「多業種100社を束ねる共通会計システム導入プロジェクト 〜ユーザー部門主導の成功方程式」と題して講演した。

 東京急行電鉄の特徴は、120社の連結子会社を抱えること。以前は個々の子会社ごとに個別の経理システムを使っていたが、昨今では企業経理が複雑化したほか、ガバナンスの強化が課題として顕在化した。こうした経緯から、連結子会社の経理システムを統合する。すでに6社へのパイロット導入が完了しており、2020年までに120社すべてに導入する。

 経理システムを全社で共通化することで、問い合わせ窓口を一元化できる。さらに、すべての会社で同じシステムと業務フローを運用できるため、人材の流動化も図れる。導入の方針は、個々の会社ごとの個別の要望についてはグループ全体で必要な機能なのかを議論し、カスタマイズを極力行わないことだ。

ユーザー部門がプロジェクトを主導、スピード感を重視


東京急行電鉄の財務戦略室主計部で課長を務める相澤巧一氏

 プロジェクトを進める上での最大の特徴は、情報システム部門ではなくユーザー部門の「財務戦略室主計部」が主導すること。「我々はやりたいことがあるので、やりたいことがある人が中心になってプロジェクトを進める。ユーザー部門が自分で決めたなら、ユーザーはシステムを使いこなすようになる」(財務戦略室主計部で課長を務める相澤巧一氏)

 システムの導入にあたっては、プロジェクトメンバーの意識を統一することも重要だった。このための取り組みとして、連結子会社各社の一般社員向けには、社内報を通じてプロジェクトへの協力を呼びかけて、理解を醸成した。各社の経理部門が孤立しないようにした。

 プロジェクトメンバー向けには、課題が顕在化した際にメンバー全員で一箇所に集まって議論できる物理的な場所を作った。解決策を打ち出してすぐに実行に移すスピード感が重要だからだ。また、長期にわたるプロジェクトなので、いつでも初心に帰れるように、部屋には「プロジェクト参画の心構え」を印刷して張っている。

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