クリックテック・ジャパンは3月27日、日本を含めたアジア太平洋(APAC)地域においてデータリテラシーに関する調査結果を発表した。APAC地域諸国と比べて、日本のデータリテラシーの低さが明らかとなった。
「データリテラシー」について、クリックテックでは、(1)データを読み解く能力、(2)データを業務で活用する能力、(3)データを使って分析する能力、(4)データに基づいて議論する能力――と定義。これらの能力を兼ね備ることで、データ主導の戦略的な決断が可能になるという。
調査は、米Qlik Technologiesの独自調査として調査会社の英Censuswideに委託した実施した。日本、インド、オーストラリア、シンガポール、中国のAPAC地域5カ国の合計5288人(日本は1061人)のビジネスパーソンが対象。経営幹部から一般社員まで幅広く回答を集めた。期間は2018年1月30日~2月14日。
クリックテック・ジャパン カントリーマネージャー 北村守氏
調査結果によると、「データリテラシーに自信がある」と回答したのは、インドが最も高い45%、オーストラリアが20%、シンガポールが15%、中国が11%で、日本は最も低い6%だった。「“文化的背景”によって日本は評価が低くなりがち」(クリックテック・ジャパン カントリーマネージャー 北村守氏)としながらも、日本のデータリテラシーの低さが際だった形だ。
職位が上がるほどデータリテラシーを備えていると回答した割合が高くなり、経営幹部では24%に達した(上位管理者は14%、中間管理職または専門職は6%)。職位が高いほど機密性の高い経営情報にアクセスし、意思決定に生かせる環境にあるためではないかと北村氏は説明する。データアクセス権限の低さがデータリテラシーを阻害する要因の一つとなっているわけだ。
実際、「自社の全員がデータを活用する権限を持っている」と回答したのは、APAC地域全体で23%だったのに対し、日本は11%だった。対象地域内で最も低い結果となった。また、データ活用にストレスを感じないとした割合はわずかに31%。つまり、およそ7割がデータ活用に抵抗感を持っているという。
調査では、業務パフォーマンスとデータリテラシーの間での強い相関性が確認された。データリテラシーを備えているとした回答者の97%が職務遂行にも自信を持っていることが分かった。一方で、データリテラシーを備えていないとした回答者で職務遂行に自信を持っている割合はわずか9%だった。
Qlik Technologies APACデータリテラシーリード Paul Mclean氏
日本は、APAC地域の国々と比べてデータリテラシーが低い傾向にあるものの、データ活用への期待は高まっているようだ。日本の調査対象者の67%が現在の職務において「週に1回以上の頻度で業務上のデータ分析に関与」しており、36%が「3年前と比較して大量のデータを扱うようになった」と回答した。
ただ、「データリテラシーが高いほど職場における信頼性が向上すると考えている」と回答したのは42%にとどまった。半数以上の回答者はデータリテラシーが高まっても信頼性の向上につながらないと感じているようだ。
日本の対象者の72%が「データが自分の仕事をより良くするのに役立つ」とした一方で、48%が「職場でデータリテラシーやスキルに関するトレーニングがない」と回答。また、「データリテラシー向上に時間や費用を費やしたい」と考えている回答は31%にとどまった(日本を除くAPAC地域は82%)。
こうした日本の現状について、北村氏は「データリテラシーの重要性は認識されているが、APAC地域諸国と比べて、まだ意識の遅れが見られる」と指摘した。
Qlik Technologies APACデータリテラシーリードのPaul Mclean氏は27日に開いた記者会見で、「経営層と従業員の間にはデータリテラシーに大きなかい離がある。これがビジネス成長の阻害要因となっている」と説明し、データアクセス権限の拡大やデータリテラシー戦略の導入、カルチャーシフトの推進が必要であるとした。