ブラックベリー・ジャパンは4月12日、モバイル端末と企業内システムとの接続を管理するソフトウェアの最新版「BlackBerry Unified Endpoint Management(UEM)」およびMicrosoft Office 365とのセキュアなデータ連係を行うためのミドルウェア製品「BlackBerry Enterprise Bridge」を発表した。5月からの提供を予定する。
BlackBerry UEMによる構成イメージ。基本的な仕組みは従来のBESと同様で、UEMからBlackBerryのNOCへ独自のSRPプロトコルによるトンネリング通信でセッションを張り、通信経路のセキュリティを確保する
BlackBerry UEMは、以前は「BlackBerry Enterprise Server(BES)」と呼ばれていたサーバソフトウェア製品。ゲートウェイ部に設置され、企業内システムとBlackBerryのネットワーク管理センター(NOC)との中継的な役割を果たすもので、これによってシステムから端末までのエンド・ツー・エンドによる暗号化通信などを可能にしている。
以前のBESでは、BlackBerryがかつて開発・製造していた自社端末のみをサポートしていたが、同社は端末事業から撤退してソフトウェア企業に転身したことで、BESをUEMに刷新。現在ではAndroidやiOSなどの広範な端末とクラウドを含むアプリケーションとのセキュアな通信をサポートするプラットフォーム製品と位置付けられている。
UEMの最新版では10種類以上の新機能の追加や機能拡張が図られた。中でもユニークな新機能として、従業員の端末へシステムのメンテナンスや障害、災害警報といったさまざまな情報をメールやメッセージ、電話で同時に一斉配信するものや、勤務時間外に従業員の端末にメールやメッセージなどによる業務連絡のポップアップ通知をオフ(メールなどの機能自体は使用可能)にさせるものがある。
プッシュ通知を柔軟に利用することで、時間外の業務連絡をオフにしたり、従業員に注意を促したりもできる
後者の機能は、通知をオフにする時間帯を管理者が指定することで、例えば、夜間に従業員が業務連絡を受け取って必要以上に仕事をしてしまわないようにするといった、「働き方改革」にも活用できるという。
BlackBerry Enterprise Bridgeのイメージ。Office 365と連係するための開発ではMicrosoftもサポートしている
BlackBerry Enterprise Bridgeは、BlackBerryの業務アプリケーション群「BlackBerry Dynamics」とOffice 365を連係する。例えば、BlackBerry Dynamicsのメールで受信したドキュメントファイルをOffice 365のアプリケーションで編集、保存するような場合、従来は暗号化されたファイルをいったん復号する必要があったが、Enterprise Bridgeを使用することで復号する必要がなくなり、ファイルのデータセキュリティを確保できるとしている。政府機関や金融、医療、法務など非常に厳しいセキュリティレベルが求められるユーザーの利用を見込む。
ブラックベリー・ジャパン カントリーマネージャーの五木田憲男氏
記者会見でカントリーマネージャーの五木田憲男氏は、エンタープライズソフトウェアベンダーとして再出発した同社の事業方針を説明。現在は、企業のビジネスで接続される、あらゆるモノとデータのセキュリティを提供するというビジョン「Enterprise of Things(EoT)」を掲げ、収益の23%を製品開発に投資し、先進7カ国全ての政府機関に採用されるなど、着実な成長を遂げているとした。