日本オラクル 執行役員 クラウドソリューション営業統括の竹爪慎治氏
日本オラクルは4月19日、3月に提供を開始した自律型データベースのクラウドサービス「Oracle Autonomous Database Cloud」に関する説明会を開催した。サービスの第1弾となるデータウェアハウスの「Autonomous Data Warehouse Cloud」では、「早々に3桁のユーザーを獲得したい」(執行役員 クラウドソリューション営業統括の竹爪慎治氏)との目標を掲げた。
Oracle Autonomous Database Cloudは、Oracleが2017年10月に米国サンフランシスコで開催した「Oracle OpenWorld」で発表されたもの。会長兼最高技術責任者(CTO)のLarry Ellison氏が、Amazon Web Services(AWS)に対抗するべく、データベース運用を自動化する“世界初”のデータベースと表明したことでも話題になった。Data Warehouse Cloudを3月に開始し、第2弾となるオンライントランザクション処理(OLTP)の「Autonomous OLTP Database Cloud」を夏頃に開始する。
竹爪氏は、Autonomous Database Cloudの特徴について、機械学習技術を利用した「管理の自動化」「セキュリティ保護の自動化」「修復の自動化」を挙げる。従来はデータベース管理者のノウハウと手作業に依存していた運用管理をクラウド側で行ってくれる。コスト削減とセキュリティ強化、データベース管理者の業務生産性の向上というメリットをもたらすものだと説明した。
日本オラクルが自律型データベースでうたう3つの特徴
同社のクラウドサービスにとって「Autonomous(自律化)」は、今後の中心的なキーワードになるという。現時点では、あくまでデータ管理の自律化にあり、将来的にアプリケーション開発やマルチデータ連携、アナリティクス、セキュリティ管理に広げていくとしている。
日本オラクル Cloud Platformビジネス推進本部長の佐藤裕之氏
クラウドプラットフォームソリューション統括 Cloud Platformビジネス推進本部長の佐藤裕之氏は、「Autonomous」のコンセプトをユーザーが設定したポリシーに従って自動的に管理される方法だと述べた。手間のかかるタスクや属人性を排除することがシステムのリスクを低減させ、高水準の安定稼働率をもたらすという。パートナー企業のアシストが実施中の先行検証では、オンプレミスのデータウェアハウスに対してData Warehouse Cloudにおけるクエリ処理時間は約10分の1、SQLチューニングの工数は約20分の1になった。
国内の事業体制では、アシストを含む13社がAutonomous Database Cloudの販売、サポート、ソリューション/サービスの開発を表明。また、同社は2018年中に国内データセンターの開設も予定する。
日本オラクルが挙げたビジネス分析(BI)中心のクラウドサービスとAutonomous Data Warehouse Cloudの違い。実際にはBIがクラウド利用、データウェアハウスはオンプレミスというケースが大半なので比較するには難しいが、日本オラクルはAutonomous Data Warehouse Cloudがどちらも包含するクラウドサービスだと主張している
竹爪氏は、国内拠点におけるAutonomous Database Cloudなどの提供計画は明らかにしなかったが、「現時点でデータセンターの開設とOLTPサービスの提供開始のどちらが先かは何とも言えないが、まずフラグシップのData Warehouse Cloudを着実に提供し、本命ともいえるOLTPのサービスに備えていく」とコメントしている。