コンサル系パートナーと共にWorkpalce Analytics普及を目指す
本記者会見では、日本マイクロソフト製品/ソリューションを活用する顧客企業の事例紹介も行った。日本郵船は「全社員データアナリスト化」を推進する基盤として、世界43カ国3万2000人の社員を対象にMicrosoft 365 Enterprise E5を、4月から順次導入している。背景には「外航海運業界の生き残りが目的。中期経営計画としてデジタル化と環境化を目指すプロジェクト「Staying Ahead 2022 with Digitalization and Green」を通じて、蓄積してきたデータのリアルタイム分析と、自社業務に活用可能とする全社員がデータアナリスト的な動きへシフトする狙いがある。
左から平野氏、NYK Business Systems 代表取締役社長 班目哲司氏、日本ビジネスシステムズ 代表取締役社長 牧田幸弘氏、ドリームファクトリー 取締役 宮城隆二氏
既に同社はBYODや内線回線を廃止して全社員にiPhoneを付与し、希望者にはSurface Proも提供して情報共有基盤を強化してきた。急速とも言えるデジタル変革を推進する同社だが、2017年6月に欧州で拡散したランサムウェア「NotPetya」の被害にあったA.P. Moller-Maersk(デンマークを拠点とする海運企業)が大きな影響を与えたという。「損失額は3億ドルにもおよび、経営層で会議を重ねてきた。Microsoft 365(に含まれるMicrosoft Intune)でデバイスを管理し、安全な労働環境を構築したい」(NYK Business Systems 代表取締役社長 班目哲司氏)と日本郵船は説明した。
JBS(日本ビジネスシステムズ)は全社員2200人を対象に、Microsoft 365 Enterprise E5およびWorkpalce Analyticsを活用した全社改革を、4月26日より開始した。同社は「ハイパフォーマーやチームや、メールコミュニケーションや電話コミュニケーションなど数値的な結果が明らかになった。これを全社員に展開したい」(日本ビジネスシステムズ 代表取締役社長 牧田幸弘氏)と導入効果を語る。同社が提示したハイパフォーマーと一般社員の比較結果に目を通すと、社外メール数は1.5倍、自身から発するメール送信数は2倍、社外との電話は2倍、会議件数は2倍と多く、上司同席会議は0.5倍という結果が明らかになった。同社は社内会議を30分以内に切り上げる「Challenge 30min」を実施する。その理由として、「1時間の定例会議で内職をしている社員が多い。会議時間を30分に短縮し、宿題が生じた場合は後日の30分会議で処理する」(牧田氏)。
医療機器の販売など多様な事業を手掛けるドリームファクトリーは、4年ほど前から立ち上げたトータルボディケアブランドが堅調で、人材やデバイスなどさまざまな問題が発生していた。そのような背景からMicrosoft 365を導入し、セキュリティ担保はMicrosoft Intuneで一括管理。社内交流はそれまで使っていたコンシューマー向けコミュニケーションツールからMicrosoft Teamsへ移行した。その理由として同社は、「コンシューマー系ツールは個人のIDにひも付くため、セキュリティ問題が発生する。弊社は大阪に本社、営業拠点は東京都になるため、両拠点の円滑なコミュニケーションとセキュリティの担保に活用している」(ドリームファクトリー 取締役 宮城隆二氏)と語った。当日は参加しなかったが、Microsoft Teamsを活用する企業として、リクルートキャリア/リクルートジョブズとオカムラのビデオメッセージ、三越伊勢丹のコメントを披露した。
最後に日本マイクロソフトはWorkpalce Analyticsの普及を推進するため、組織・人事コンサルティングにおけるパートナーシップの拡大を発表した。マーサージャパンは組織人事コンサル部門50人以上でサービス展開する「働き方改革 組織パフォーマンス 改善支援サービス」を500万円から提供する。EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングは国内100人のプロフェッショナルによるサービスを200万円から提供する「Workpalce Insights」を発表。ベイン・アンド・カンパニーも100人規模の体制で「Workpalce Analyticsを活用したコンサルティングサービス」を提供し、野村総合研究所は150人規模の体制で「NRIの働き方改革支援サービス」を提供する。日本マイクロソフトは、「我々は技術はあっても、組織や人事に関する知見を持ち得ていない。パートナーと共に価値を提供し、働き方改革をとおして、日本の社会変革に貢献したい」(平野氏)と語った。