海外コメンタリー

レッドハットが買収したCoreOSの今後の行方

Steven J. Vaughan-Nichols (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2018-05-15 06:30

 サンフランシスコで米国時間5月7日より開催された「Red Hat Summit」における最大の関心事の1つは、「Red Hatは、最近買収したCoreOSをどうするのか?」だったが、それが明らかになった。Red HatのLinux Containers担当製品マネージャーであるBen Breard氏と、CoreOSの最高技術責任者(CTO)であるBrandon Philips氏がプレゼンテーションを行い 、Red HatによるCoreOS買収後のCoreOS製品の針路について説明した。

 Red Hatは、同社のコンテナおよび「Kubernetes」ベースのソフトウェアポートフォリオに、CoreOSのKubernetesディストリビューション「Tectonic」、コンテナレジストリ「Quay」、クラスタ向け軽量Linuxの「Container Linux」を統合する。しかし、CoreOSの人気のある技術が1つ対象外となる。それは、同社独自のコンテナエンジン「rkt」だ。rktは今後、コミュニティーサポート型のコンテナ技術という扱いになる。

 Container Linuxと、軽量のコンテナ化されたオペレーティングシステム「Atomic Host」を中心に構成されている「Project Atomic」は、「Red Hat CoreOS」に統合される。「Red Hat CoreOSは、両者の最も優れた特徴を継承する」と、Breard氏は述べている。無料の高速な自動化されたコンテナホストというContainer Linuxのビジョンも引き継がれる。最終的にRed Hat CoreOSは、Red Hatのイミュータブルなコンテナ中心のオペレーティングシステムとして機能し、Atomic HostとContainer Linuxに取って代わることになるという。

 CoreOSは、「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」のFedoraのように、アップストリームのコミュニティー版を提供するが、まだ取り組みを進めている最中だ。Project Atomicサイトは段階的に縮小し、突然閉鎖するようなことはないという。コード自体は、Red Hatのコンテナコードリポジトリに格納される。

 Red Hat CoreOSは、「Red Hat OpenShift Container Platform(RHOCP)」「Red Hat OpenShift Online」「Red Hat OpenShift Dedicated」の新しい基盤を提供することになる。またRHOCPは、Kubernetesの導入において従来のライフサイクルとパッケージングを好む顧客のために、引き続きRHELをサポートする。

 CoreOSのリリース頻度はOpenShiftのリリースと連携させ、お互いに足並みを揃える。クラウド環境と仮想環境をターゲットにする。ゆくゆくはベアメタルサービスとして出荷する意向だが、まだ当分先の話になる。

 当面はContainer Linuxも、Linuxディストロとして継続する。

 Red HatはTectonicの多くの機能をRHOCPに追加する。特筆すべきは、自動化されたOTAアップデートを介して大規模なKubernetesクラスタを管理するTectonicの機能が含まれる点だ。この機能により、システム管理者とITマネージャーは自動プロセスを通じて、Tectonicクラスタ全体と、それを支えるContainer Linuxのホストを容易にアップグレードできるようになる。Red Hatはこの機能を「自動オペレーション(automated operations)」と表現している。

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