データベース自律化で管理者が不要になる?
データベースが自律化すれば、これまで運用を担当してきたデータベース管理者は不要になるでしょうか。その答えは「ノー」です。短絡的に考えれば、これまで手動で行ってきた作業をシステムが自動で実行してくれるのであれば、その分の人員を削減できそうな気がします。このまま運用の自律化が進めば、これまで人間が実施してきた一部のタスクについては、人間が実行する必要がなくなる可能性が高いでしょう。
そのため、データベース管理者はこれまでの画一的な運用作業から解放されることは事実です。ただ、データ活用の重要性が叫ばれている昨今、データベース管理者を削減することは妙策とは言えません。これまでの経験から、データのライフサイクルや特性を熟知しているため、データの専門家として活躍の場を与えることが、企業価値を高めるためにも最適であると考えます。データベース管理者の人件費は「コスト」から「成長投資」という位置付けに変化させる必要があるのです。
データに関する専門領域としては下記が考えられます。
- データ分析
- ナレッジグラフ構築
- セキュリティソリューション実装
- データ連携
- テストの効率的な実施
図3:オラクルのシステムを用いたデータ活用例
もちろん、データベース管理者は既存の知識だけでは価値は発揮できなくなるため、よりクリエイティブなスキルを身に付ける必要があります。それと同時に市場価値も高まると予想されます。
加えて、データベース管理者がこれまでの画一的な運用作業から解放されることのメリットとしては、コマンドの入力間違いや接続先の誤りといったオペレーションミスの防止が挙げられます。また、データベースの運用作業に関わる人数が減ることで、管理が行き届きやすくなり、内部犯行の発生確率も下げられるでしょう。
このように自律型データベースの活用によって、作業時間や人的ミスが減り、コストやリスクを抑えられます。そして、データの高度活用によって、価値ある知見を発見したり、ビジネス課題を解決したりできれば、システムが生み出す利益を最大化し、投資対効果(ROI)の向上が見込めると考えられます。
- 小西亮輔(こにし・りょうすけ)
- 日本オラクル クラウド・テクノロジーコンサルティング事業本部 ラインマネージャー
クラウドプラットフォームのコンサルティングサービスを担当するチームで、クラウド支援の他にデータ統合、データ分析、試験効率化、セキュリティなどのデータ活用支援を主に担当。30人を超える所属メンバーの強みを組み合わせることで得られる価値の最大化を常に意識している。