ISID、ブロックチェーンによるトレーサビリティを実証実験

NO BUDGET

2018-05-23 11:32

 電通国際情報サービス(ISID) のオープンイノベーションラボ(イノラボ)は、有機農産物の生産から最終消費までのサプライチェーン全体にわたるトレーサビリティをブロックチェーン技術で保証し、「エシカル(倫理的)消費」の真正性を担保・可視化する実証実験を開始した。

 エシカル消費とは、環境や人体への負荷、社会への貢献などを重視して生産された商品やサービスを選択的に消費する行動や理念を指す。

 実証期間は5月末までの予定で、生産地は宮崎県綾町の協力農家、最終消費地は東京都千代田区のレストラン「REALTA」となる。流通経路は複数の一般の宅配サービスを利用する。

 イノラボは、実証実験全体の企画・プロデュース、エシカル消費行動を誘発するユーザー体験(UX)デザインの開発、生産・流通履歴から得られるデータを自然生態系への配慮度という観点で定量評価するための独自の評価基準「サステナビリティレベル」の開発を担当する。

 宮崎県綾町 は「自然生態系農業の推進に関する条例」に基づき、環境負荷の少ない有機野菜を生産・審査し、出荷までの過程をブロックチェーンに記録する。REALTAは綾町産野菜を用いたエシカルメニューの開発、メニュー表現手法の検討、実証実験サイトとしての協力を行う。

実証実験の概要
実証実験の概要

 実証実験の流れは、まず綾町で生産者および管理者(役場の検査官)が、町独自で定める自然生態系の保護評価指標に基づいて、生産履歴や土壌品質検査の結果をブロックチェーンに記録する。次に、出荷用ダンボール一つひとつに、照度、加速度、温度を検知するIoTセンサを同梱して出荷。これにより、輸送中に箱が開閉されていないか、適切な温度・場所で保管されていたか、過度な衝撃が加わっていないかなどが把握され、逐次ブロックチェーンに自動的に記録される。

 レストランでは、綾町野菜を用いた実験用エシカルメニューを提供する。来店客が店内でストレスなくエシカルメニューを認知・選択できるよう、専用UXデザインによるメニューを用意するほか、スマートフォンに差し込むだけで綾町野菜の動画を閲覧できる機器(バッテリーレス型イヤホンジャックドングル)を提供する。

 エシカルメニューの注文客だけに別途渡されるドングルをスマートフォンに差し込むと、消費履歴がブロックチェーンに記録される。この記録はSNSアカウントと連携可能で、注文客をインフルエンサーとする能動的な情報拡散が行われたか、そこにどのような共感や評価が集まり、フォロワーの行動が誘発されたかという履歴がブロックチェーン上に蓄積され、生産者やレストランへのフィードバックとなる。

 生産履歴及び流通履歴のブロックチェーンにによる管理、また消費者のエシカル消費履歴をエシカルトークンとして付与する技術の提供は、シビラが協力する。

 バッテリーレス型イヤホンジャックドングルのプロトタイプ設計・試作協力、技術ノウハウの提供は、パナソニック Wonder LAB Osakaが担当した。また、流通品質を可視化するIoT センサーなどの提供はUPRが行った。

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