SAP自身はハードウェアインフラを持たない。この事実が、HANAデータベースの提供方法に大きな影響を与えてきた。SAPは自社でデータベースのハコを製造する代わりに、OEMパートナーを認定する形式をとっている。この形は、SAP内外、そしてクラウド内外のフェデレーション環境でデータの統合と管理を行う「SAP HANA Data Management Suite」の設計にも引き継がれている。
SAPは米国時間6月5日、米フロリダ州オーランドで開幕した「SAPPHIRE NOW」イベントでSAP HANA Data Management Suiteを発表したが、これは驚きではなかった。SAPは年初にブログで方向性について示唆していたからだ。
SAP HANA Data Management Suiteは現在、SAP HANA、SAP Data Hub、SAP Cloud Platform Big Data Service、SAP Enterprise Architecture Designer(EA Designer)といった既存製品で構成される。馴染みのある製品が入っている一方、新しい機能もある。注目すべきは、SAP HANAデータベースの機能だろう。HANA 2.3では、先週発表されたIntel「Optane DC」不揮発メモリモジュールのサポートが加わった。Optane DC不揮発性メモリは大容量と手頃な価格、不揮発性を併せ持ち、SAP HANAインメモリデータベースのストレージの効率を大きく改善する。
また新しい機能の中には、欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)などのデータ保護規制向けのリアルタイムの個人情報匿名化もある。だが、この機能はSAP HANA内のデータのみに制限される。
SAP HANA Data Management Suiteの競合は、データ統合とガバナンスを手掛けるInformaticaなどだ。Informaticaはすでに、共通のメータデータエンジン上で製品を構築している。SAPの切り札は、アプリケーション層や特に業界ごとの豊富な情報モデルライブラリを持っている点だろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。