Teslaの電気自動車を動かしているのはバッテリの力だけではない。オープンソースソフトウェアも縁の下で力を発揮している。これは公然の秘密だ。とは言うものの、Teslaは最近になるまでオープンソースライセンスの要求を満たせていなかった。しかしついに同社は「Model S」と「Model X」に搭載しているLinuxソースコードの一部を公開し始めた。
GitHubの同社のリポジトリには、「Model S/X 2018.12」ソフトウェアリリースのソースコードが含まれている。具体的には、「Tesla Autopilot」プラットフォームのシステムイメージと、同社の基本ハードウェア向けのカーネルソース、「NVIDIA Tegra」ベースの車載インフォテインメントシステムのコードだ。
またTeslaは、同社の電気自動車に搭載しているその他システム用のオープンソースコードも追加で公開しようとしている。同社は「他の領域のソースコードについても、より練り込まれた情報ページとともに公開準備を整えているところだ。こういった素材が現在利用可能になっており、その他の領域についても作業を続けていることを知ってもらいたい」と述べている。さらに同社は、ソフトウェアを改訂した際に、ソースコードのアップデートも実施していくと述べている。
とは言うものの、現時点では自分の愛車用として独自のTeslaバイナリをビルドすることはできない。Tesla Linuxのソースコードはまだ、すべてのファイルが公開されているわけではなく、ビルドの説明も完全とは言えない状態だ。
Teslaは、Linuxが採用しているGNU General Public License v2.0(GPLv2)に従ったソースコードの公開に向け、Software Freedom Conservancy(SFC)との作業をゆっくりと進めてきた。SFCのリーダーであるBradley M. Kuhn氏とKaren M. Sandler氏は、「SFCは、TeslaがModel SにおいてGPL違反を犯しているという複数の報告を受け、同社にその旨を通知した2013年6月以降、同社に対してGPLへの準拠を求めてきた。TeslaのModel Sを購入した顧客には、『BusyBox』とLinuxを含む車載システム(群)が引き渡されたものの、ソースコードは一切提供されず、ソースコード提供の申し出もなかった」と記している。